专栏

カイロプラクティックは面白い!

2016年 6月 30日更新

第48次 : 偏頭痛やむち打ちが原因で、物が二重に見える?

~脳神経No.4滑車神経(Trochlear Nerve)No.6外転神経(Abducens Nerve)~

眼球を動かす6つの筋肉のうち、残りの2つは滑車神経(Trochlear Nerve)と外転神経(Abducens Nerve)によってコントロールされます。3つの神経と6つの筋肉が正確に連動しなければ、画像が目の中の焦点に映らないので、画像が画像として見ることができません。少しでも画像がずれると二重に見えることになります。脳は、物が二重に見えることをとても嫌がり、そうなると、片目でしか見えないようにしてしまいます。

滑車神経

滑車神経は、脳神経の中で唯一、脳幹の後方から抜け出し、ぐるっと脳幹の外側を回って前に行き、眼球へ向かい上方斜筋(Superior Oblique Muscle)にたどり着き運動能力を支配することになります。滑車神経のもう一つの特徴は、この神経が12の脳神経中で一番長い距離を旅することと、唯一脳幹を抜け出す前に脳幹内で交叉しているため反対側の筋肉を動かせることです。つまり、右の滑車神経は左の上方斜筋をコントロールするのです。

例えば、両目で左下を見ようとします。このとき右の滑車神経が左目に左下を見なさいという指示をして左目を左下に動かすと同時に、右の眼動神経(Oculomotor Nerve)と連絡を取り、右目に左下を見なさいという指示をして右目を動かします。これによって左の目は左下を見ることができ、同時に右の目も左下を見て両目で左下を正確に見ることができるのです。

もし滑車神経が何らかの原因で作動しなくなったらどうなるでしょうか。このような状態を上方斜筋麻痺(Superior Oblique Palsy)と言います(Fig.1)(Fig.2)。

滑車神経が損傷する原因
  • 頭のケガ
  • 交通事故でのむち打ち症
  • 卒中、腫瘍など(あまり多くはありません)
滑車神経が損傷した際の症状
  • 物が二重に見える。これには上下に二重に見える縦二重視(Vertical Diplopia)とねじれ二重視(Torsional Diplopia)があります。
  • 縦二重視は、上方斜筋が動かなくなるので、下方向へ眼球がうまく動かなくなり画像が上下に2つに見えてしまいます。
  • ねじれ二重視は、筋肉の力が弱り、眼球を内側(鼻側)に回転できなくなり二重視を起こします。
  • ねじれ二重視は、二重視を抑えるため常に頭を麻痺した側と反対方向に傾けて見るようになります。例えば、左目が問題とするときには頭を右に傾けるようになります。
  • 問題のある目が外側へずれてしまう。斜視。
  • 斜め下を見ることがうまくできなくなるので、階段を下りるとき足元が見にくくなります。
外転神経

脳幹の上から2番目の部分(Pons)という部分に外転神経の中枢があり、ここから眼球の方向へ進み外側直筋(Lateral Rectus Muscle)をコントロールします。この筋肉の役割は眼球を外側に向けることが唯一の機能です。同様に神経も眼球筋肉(外側直筋)のみをコントロールしています。この神経は交叉をしませんので、脳幹内の神経中枢がある同じ側の筋肉をコントロールしています。例えば、右側を見ようとした時、右目は右側の外転神経が、左目は左の眼動神経をコントロールし、同調して初めて右側を見ることができます。

外転神経は脳神経の中で最も圧迫の影響を受けやすく、脳内の圧力が頭部のケガや高血圧、動脈硬化などによって上がることで圧迫されてしまいます。圧迫症はの要因は、頭部のケガ(全体の約3%~30%)、動脈瘤(約6%)、酸欠(約36%)とされています。外転神経麻痺は、脳神経の麻痺症状の中で、大人では第1位、子供では上方斜筋麻痺に続き第2位の眼球筋肉の麻痺症です。約10万人に2.5人起こるといわれています。

外側直筋麻痺の原因
  • 頭部のケガ
  • ヴィールス感染症
  • 炎症
  • 卒中
  • 偏頭痛
  • 脳内圧の上昇
  • 子供ではケガ、大人では卒中が大きな原因
  • 脳腫瘍
外側直筋麻痺の症状(Fig. 3)
  • 問題側の目が内側にずれる。
  • 外側に眼球が動かせない。
  • 物を目で追うときに目が動くスピードが遅い。
  • 眼震がある。
  • 中耳炎を引き起こすことがある。
  • 問題のある目の横方向を見るときに二重視が起こる。
  • 問題のある目が目の中心より横を見ることができない。
カイロプラクティック治療の効果

私たちは動くものを正確に捉えて、目で追うことができます。速いスピードでも遅いスピードでもこれは可能です。その行為を可能にしているのが、正確に同調している動眼神経、滑車神経、そして外転神経なのです。上記の「原因」を見ていただけると分かると思いますが、激しい偏頭痛が原因でも目の運動障害が生じることがあります。また、目がきちんと動かせないので、頭を傾けて物を見ようとする時に、このような無理な姿勢で焦点を合わせたり、二重視を妥協することで首に負担がかかり、首の痛みを生じることが多々あります。このような症状にはカイロプラクティクの治療が効果を発揮します。治療法の選択肢としてぜひ覚えておいてください。

2016年 6月 30日更新

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Columnist's Profile

Chiropractic Functional Neurologist
Hiro Sugawara D.C.Hiro Sugawara, D.C.

空手や棒術などの武道に打ち込む中、少林寺拳法の整体に興味を持ち、それがきっかけになりカイロプラクティックを知り渡米。1990年に Palmer - Westカイロプラクティック大学を卒業、学位を取得、92年 Sunnyvale に開業現在に至る。94年には、公認スポーツカイロプラクター資格を取得、95年より2000年母校 Palmer - West大学にて講師を務める。98年より Chiropractic Neurology の勉強を始め神経科カイロプラクティックの知識を深め、さらに、平衡感覚リハビリテーション講座、交通事故のスペシャリストとしての Auto Safety Trainer講座、機能神経科としての Developmental Disorder Specialty (発達障害児講座) 等数々の講座を終了。現在も Mountain View のシニアセンターやPHP (Parent Help Parent) にてセミナーを行いながら更なるカイロプラクティックの知識と技術向上に努めています。

Hiro Sugawara, D.C.

990 W Fremont Ave Ste M, Sunnyvale CA 94087

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