東洋医学?
『カイロプラクティックは東洋医学ですか?』 とよく聞かれることがあります。 たぶん、日本の整体法と似ているように思われ間違われてしまうのですが、カイロプラクティックはアメリカ生まれの医学です。
教育・資格制度
整体とカイロプラクティックの差は、教育と資格制度にあると言えるかもしれません。 カイロプラクティックドクターになるためには、大学のあと更に4年間カイロプラクティックの大学に行く事になります。 4年間で解剖学 (理論と人体解剖) 、生理学、病理学、物理療法、カイロプラクティック理論、カイロプラクティック実習、そしてクリニックでインターンを1年、約300人、実際の患者さんを診察治療して、州免許のテストに合格してはじめて開業できます。 教育履修時間は約4500時間になります。 これは普通の医師と大体同じ履修時間になります。 カイロプラクティックの大学は、履修時間、内容など厳しく管理組織に管理されており、内容の低下などが見つかると学校の認定取り消しなどの罰則を受けることもあります。 認定取り消しを受けると、その学校を卒業しても州免許を受ける資格がなくなってしまいます。
誕生の経緯
カイロプラクティックの成り立ちは、1895年にDDパーマー (D.D. Palmer) という方によって作られたアメリカ生まれの新しい医学です。 このDDパーマーが偶然ハービー リラードという人の耳が聞こえない病気を背骨のゆがみを矯正することによって治してしまったことにより、DDパーマーが 『病気は背骨のゆがみによって起こされているのではないのか』 という疑問から研究をはじめ、カイロプラクティックが生まれました。 DDパーマーは 「カイロプラクティックの創始者」 と呼ばれ、息子のBJパーマー (B.J. Palmer) はDDパーマーの理論を整理して形態づけ、カイロプラクティックの基を確立したので、「カイロプラクティックの開発者」 と呼ばれています。 その後パーマー親子の生徒の中から数々の天才的なドクターが生まれ、現在のカイロプラクティックが作られていきました。 その数々の傑出したドクターの中でも、私にとって特別に記しておきたいドクターは、機能神経科カイロプラクティックの創始者 Dr. Carrickと、子供の成長障害症 (自閉症、ADHD) の治療法を確立させた Dr. Melilloです。
医学、機能医学 (カイロプラクティック)、機能神経科カイロプラクティック
さて、機能神経科カイロプラクティック (Chiropractic Functional Neurology) と言うのは、ふつうのカイロプラクティックや医学と何が違うのかと言う事になりますが、これらは、治療する際の概念と方法の違いになると思います。
- ○一般の医学 (Traditional Medicine)
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一般の医学 (Traditional Medicine) は、急性の病気、症状の改善、感染症への治療を中心に行い、症状の改善に重きをおきます。 さらに解剖学的な疾患または生化学的な疾患を病気の原因として探す傾向にありますので、検査の結果によって手術、投薬などをおこない治療します。
- ○機能医学 (Functional Medicine)
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それに対して、機能医学 (Functional Medicine) は、『病気は解剖学的な問題がなくても起こりうる』 と考えてゆき、病気の根本原因を治療することを目的としています。 体を 「個々の臓器の集合体」 としてではなく、「全ての臓器、体の部分を同調して働く全体像」 としてみて、治療、診断してゆく医学です。 これはまさにカイロプラクティックの根本原理となるものですが、機能医学 (Functional Medicine) は少し新しい医学の概念なので、カイロプラクティックとは治療形態が少し違ってきます。
この機能医学 (Functional Medicine) の概念を、より進めた脳神経学を基本として、『全ての疾患が中枢神経である脳と体の末端器官の不調和による』 という考えのもとに治療してゆくのが、私のスペシャリティーとしている 機能神経科カイロプラクティック (Chiropractic Functional Neurology) です。 これは、私たちカイロプラクティックドクター独特の考えになります。 機能神経科カイロプラクティックでは、『中枢神経と体の部分が相互に影響しあって、体の機能を形成している』 という考えの下に 『お互いの機能 (特に背骨の機能と、それを取り巻く筋肉から脳への刺激) を正常に持ってくることによって健康な体を作れる』 という概念で、そのために、神経検査をはじめ体のあらゆる機能、運動機能、感覚器、栄養、反射機能、神経組織などを検査し、これらに異常がないかを確かめ、カイロプラクティックにて治療をしてゆく医学です。
医学との決定的な違い
例えば、ギックリ腰になってしまって、病院か家庭医に行ったら 『どんな異常があるかレントゲン写真を撮ってみましょう』 となります。 さらにMRI を撮るかもしれません。 その結果、骨、椎間板 (ディスク) などに異常が見つからなかったら、痛み止め薬、また消炎剤を与えられて治療は終わり、『後は安静にしていましょう』 と言うようになってしまうかもしれません。 ところが機能医学又はカイロプラクティックにおいては、解剖学的な問題もさることながら機能的なことも重視しますので、レントゲン写真やMRIに異常が写らなくても、他の機能検査にて背骨の関節の動きなどをチェックします。 機能不全、動きが悪いなどを発見したら、その結果に基づいて治療計画を立ててゆきます。 レントゲン写真に異常がないのは、骨などの組織に問題はないとしても、他の軟組織つまり、じん帯、椎間板 (ディスク) 筋肉、関節などの異常とみなし、テストをして治療方針を立ててゆくことになります。
つまり、一般の医学は異常を手術や化学物質 (=薬) などによって治癒させていくのに対して、カイロプラクティックは手術、薬物を一切使用しません。カイロプラクティックの概念によって、外的刺激のみにより治療をするのが機能神経科カイロプラクティックです。 カイロプラクティックの基本であるアジャストメント (背骨、関節の矯正) は元より、五感、つまり視覚、聴覚、味覚、臭覚、触覚を使い、脳に刺激を与えて脳を活性化させてゆき、健康を回復してゆきます。
これらは先述の Dr. Carrick と Dr. Melillo の二人のドクターが基本概念をまとめ、治療方法を確立し実績を残して、機能神経科カイロプラクティックという現在の形になったのです。