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カイロプラクティックは面白い!

2015年10月 9日更新

第40回 : 五感 - 聴覚(Auditory System)

音を聞くためには、さまざまな体のパーツと複雑な工程が必要です。

通常、人間が音を聞くためには、空気の波がまず耳に届き、耳翼(Pinna)という、いわゆる外から見て「耳」と呼ばれる部分に到達して、耳翼から音波がその前にある耳の穴(External auditory meatus)に向かって進み鼓膜を振動させます。この耳の穴の部分を「外耳」と言います。耳翼の素晴らしい構造のおかげで、外部からの音が30倍から100倍に増幅され、特に3KHzあたりの音が大きくなるのです。人の話し言葉がちょうどこの音域です。

鼓膜が振動すると、その内側にあるとても小さな3つの骨マレウス(Malleus)インカス(Incus)ステピース(Stapes)という骨が位置する「中耳」も次々に振動します。さらに振動は「内耳」であるうずまき管(Cochlear)という内耳器官の楕円形の窓に届き、うずまき管の中に入っている液体を振動させるのです。そしてこの物理的振動を神経に伝えるために電気信号に変換し、聴覚神経(脳神経 #8、CN 8)から脳幹大脳を経て聴覚中枢に到達し、ようやく音と認識されるのです。

鼓膜に音が届いた時、鼓膜の面積とうずまき管にある楕円窓の面積(大体18対1)の違いによって音を増幅することができ、音波をより確実にうずまき管に伝えられるような仕組みになっています。

聴力は聴覚神経と通じており、この神経はバランス感覚を支配する神経も兼ねています。うずまき管の横に、このバランス感覚を支配する感覚器がありますが、今回は聴覚に限定してお話しします。

聴覚とは

音がどこから来ているか、何から音が出てきたのかを判断することは、大事な人間の防御システムの一つです。左右の耳に届いた音の時間差で、我々は音が右から来たのか、左から来たのかという方向を判断することができます。特に低周波数の音は、聞こえた時間差によって、音の方向を判断できるため非常に大切です。

人間の聴覚の凄いところは、2つの耳で自分に興味がある音や話し声を選び、それに集中して、その他の音や周りの音のボリュームをコントロールできることです。つまり集中したい話し声や音をよく聞くことができる機能があるのです。これを「カクテルパーティー効果(Cocktail Party Effect)」と言います。

もう1つは、とても大きい音から聴力を守るため、先ほど記した中耳の骨に付いている小さな筋肉の働きにより、鼓膜からきた騒音の振動をうずまき管の楕円窓に伝えないようにボリュームを絞ることができるのです。高齢者のなかに、ときどきこの筋肉の働きが低下してしまう方がいます。そうすると他の方が普通の音と感じるにもかかわらず、うるさいと感じるようになることがあります。

中耳の中には、ユーステシアン管という喉の奥と中耳を繋ぐ管があります。飛行機などに乗り、上昇下降などの気圧変化で耳が詰まったようになった時、唾を飲みこんだりあくびをするとこのユーステシアン管が開き、気圧を調整してくれて耳の詰まりを治してくれることは周知の事実でしょう。

また音が外部から入って長い道のりを経て聴覚中枢に届くまで、多くの器官を通りますので、その器官のどこに問題があっても聴力に支障をきたすことになりかねません。外耳や中耳が炎症を起こして、外耳炎・中耳炎になり、中耳に体液が溜まると、鼓膜が影響を受け、振動を伝えにくくなり聴力低下の原因になります。中耳の骨も関節炎になることもあり、そうすると骨の動きが低下して、音を内耳にうまく伝えられなくなります。メニエー病などは、内耳の中に体液が異常に多く溜まってしまい、内耳内の神経を圧迫して聴力障害、そしてその隣にある三半規管(バランス器官)もその影響を受けるので、めまいを起こしたりするのです。

私たち機能神経科カイロプラクターは、五感を使い外部刺激を与えて脳に刺激を送り活性化させて治療を行うため、聴力も大切な治療のための道具となります。

2015年10月 9日更新

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Columnist's Profile

Chiropractic Functional Neurologist
Hiro Sugawara D.C.Hiro Sugawara, D.C.

空手や棒術などの武道に打ち込む中、少林寺拳法の整体に興味を持ち、それがきっかけになりカイロプラクティックを知り渡米。1990年に Palmer - Westカイロプラクティック大学を卒業、学位を取得、92年 Sunnyvale に開業現在に至る。94年には、公認スポーツカイロプラクター資格を取得、95年より2000年母校 Palmer - West大学にて講師を務める。98年より Chiropractic Neurology の勉強を始め神経科カイロプラクティックの知識を深め、さらに、平衡感覚リハビリテーション講座、交通事故のスペシャリストとしての Auto Safety Trainer講座、機能神経科としての Developmental Disorder Specialty (発達障害児講座) 等数々の講座を終了。現在も Mountain View のシニアセンターやPHP (Parent Help Parent) にてセミナーを行いながら更なるカイロプラクティックの知識と技術向上に努めています。

Hiro Sugawara, D.C.

990 W Fremont Ave Ste M, Sunnyvale CA 94087

“Hiro Sugawara, D.C.”について詳しくはこちら。

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