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カイロプラクティックは面白い!

2015年 1月 27日更新

第32回 : 身体、精神の成長 - 選択性緘黙症(Selective Mutism セレクティブミューティズム)

選択性緘黙症(せんたくせいかんもくしょう)とは、自宅で家族と話をしたり、友人とは普通に話せるのに、学校など一定の環境になるとまったく話せなくなってしまう、または話をしなくなってしまう症状をもつ障害です。選択性緘黙症が悪化をしてしまうと『進展性緘黙症』になります。これは全ての環境下で誰とも話さなくなってしまう状態です。

選択性緘黙症とは
  • 選択性緘黙症は、他の機能はうまく育っているのに、ある一定の環境下で話が出来なくなる状態を一般的に総称したものである。
  • どの民族にも同じように起こりうる。
  • 不安症の素質を親から受け継いでいることが多いと考えられている。
  • その素質と言われるものが『アミグダラ(Amygdala)』と呼ばれる脳内の部分で、これは感情と大きく関わりのある部分であるが、ここが異常に活性しやすいため、人間の防衛本能(Fight and Flight Response)である交感神経のスイッチをオンにしてしまい、自分を守るため口を閉じてしまうのではないかと言われている。
  • 『社会不安障害』が選択性緘黙症を起こしている引き金ではないかとも言われている。
  • 選択性緘黙症の子達は『聴覚情報解析障害』を持っている場合も多く、あまり多くの情報が外界から入ってくることによってパニックになり、話をしなくなるのではないかとも考えられている。
  • 多くの選択性緘黙症の子供が『聴力情報分析障害』を持っている。
  • 約20%から30%の子達が、話や言語問題によるストレスで選択性緘黙症になることもある。
選択性緘黙症の症状・FACT
  • 家庭内で家族と話をするときは問題がない。
  • 見知らぬ人達やあまりよく知らない人達に対して恐怖感や不安を感じる。
  • ある一定の社会環境になると必ず話すことが出来なくなる。
  • 非常に恥ずかしがり屋である。
  • 話が一定環境で出来ないことで、学校や職場で障害となる。
  • 知識不足によって話すことが出来ないのではなく、学校や職場のような社会環境によって話せなくなる。
  • 話すことが出来ないのは、言語障害、精神分裂症など、他の障害症によるものではない。
  • かなりの確率で『不安症(Anxiety Disorder)』と併発することが多い。
  • 自閉症の症状と間違えられやすいが、まったく異なるものである。
  • 自閉症やADHDが原因となることもある。
  • 表情の欠如、笑顔を見せない。
  • 動きが硬く、不器用に見える。
  • 自分の感情を表現することが、家族にも出来ない。
  • 非常に心配性である。
  • 新しい物事を嫌い、習慣的な物事に固執する。
  • 騒音や人の集まるところをとても嫌う。
  • 知能は平均以上あり、感覚的にも優れている。
  • 創造力があり、音楽や芸術の才に優れている。
  • 他人の感情に敏感である。
  • 正邪の感覚が強い。
  • 上記のような症状が、少なくとも1か月以上続く。

選択性緘黙症の男女比は、約2:1で女の子が多く、これは『不安症』と選択性緘黙症の結びつきで、女の子が不安症の症状を多く経験しているからのようです。選択性緘黙症と診断されるのは就学してからが多く、平均年齢は6.5才から9才位です。この年齢前に症状が現れ(ほとんどが5才以前)、平均年齢は2.7才から4.1才です。一旦選択性緘黙症になると、数ヶ月から数年続き、大人になると自分で環境をある程度コントロール出来るようになるので症状は緩和します。

一方で選択性緘黙症の症状が治まっても、約60%の大人が、自信、独立心、そして社会でのコミュニケーションにおいて多少の問題を抱えているようです。選択性緘黙症は左脳の低下によって起きる障害です。これまでにも書いてきたように、成長の過程で左脳の成長が遅れてしまう事によって色々な障害が出てきます。この選択性緘黙症(Selective Mutism)もその一つなのです。

このような問題を放っておくことは決して得策ではありません。問題を残したまま成長をしてしまわないように、早めに専門家(機能神経科カイロプラクターもその中に入ります)に相談することをお勧めいたします。

2015年 1月 27日更新

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Columnist's Profile

Chiropractic Functional Neurologist
Hiro Sugawara D.C.Hiro Sugawara, D.C.

空手や棒術などの武道に打ち込む中、少林寺拳法の整体に興味を持ち、それがきっかけになりカイロプラクティックを知り渡米。1990年に Palmer - Westカイロプラクティック大学を卒業、学位を取得、92年 Sunnyvale に開業現在に至る。94年には、公認スポーツカイロプラクター資格を取得、95年より2000年母校 Palmer - West大学にて講師を務める。98年より Chiropractic Neurology の勉強を始め神経科カイロプラクティックの知識を深め、さらに、平衡感覚リハビリテーション講座、交通事故のスペシャリストとしての Auto Safety Trainer講座、機能神経科としての Developmental Disorder Specialty (発達障害児講座) 等数々の講座を終了。現在も Mountain View のシニアセンターやPHP (Parent Help Parent) にてセミナーを行いながら更なるカイロプラクティックの知識と技術向上に努めています。

Hiro Sugawara, D.C.

990 W Fremont Ave Ste M, Sunnyvale CA 94087

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