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カイロプラクティックは面白い!

Updated on 2013/ 3/ 21

Vol.10 : 学習障害 (Learning Disability)

学習障害とは一種の脳神経障害です。 別の言い方をしますと、学習障害は脳のある部分と他の部分を繋いでいる配線がうまく繋がらなくて起こる問題です。 学習障害の子達は知能が劣っているのではなく、情報を処理する過程が間違ってしまい結果的に、読む、書く、綴る、推論、思い出す、情報の処理、自分自身で答えを発見していく工程の能力に支障が出てしまう障害です。

15%のアメリカ人が学習障害を持っていると言われています。
これは7人に1人の割合になります。

読み方や言語能力障害が最も多く、学習障害の中の80%を占めています。

またADHD と学習障害は併発することが多くあります。

主な学習障害の種類ですが

1. 失読症/読書障害
Dyslexia
書いてある言葉を理解できなくなる言語障害です。
2. 計算障害
Dyslexia
計算をしたり、数学的な概念が理解できなくなる数学的な障害です。
3. 書字障害
Dysgraphia
文字を書いたり、決められたスペースに文字を書くことが出来ない障害です。
4. 聴覚/視覚処理障害
Auditory and Visual Processing Disorders
正常な聴力や視力を持っているのにその情報を正常に処理できず、言葉を正確に理解できなくなる障害です。

一般的な学習障害の症状や兆候とはどんなものかを年齢別に記してみましょう。

【就学前児童】
  • □ 話し始めるのが遅い
  • □ 発音に問題がある
  • □ 単語を覚えるのが遅い。 適切な単語を探せない
  • □ 言葉のリズムがおかしい
  • □ 数字、あいうえお、色、形など覚えられない
  • □ 集中力が無い。 気が散りやすい
  • □ 他の子供とうまく遊べない
  • □ 指示に従えない
  • □ 細かい手先の動きなどの習得が遅い
【小学校低学年】
  • □ 文字と音を結び付けられない
  • □ 基本的な言葉に混乱をする。 例えばrun、eat、wantなど
  • □ 継続的に読み間違いや書き間違いをする
  • □ +、-、xなどの計算記号に混乱する
  • □ 物を覚えるのが遅い
  • □ 新しいことを覚えるのが苦手
  • □ 計画性がない
  • □ 鉛筆の握り方が不安定
  • □ 時間の概念を覚えられない
  • □ コーディネーションが悪い。 周りの環境や状況に気が付かないので怪我をしやすい
【小学校高学年/中学生】
  • □ 単語内の文字の並び間違い
  • □ 接頭語や接尾語などが理解できない
  • □ 声を出して読むことを避ける
  • □ 文章問題が苦手
  • □ 文字を書くことに問題がある
  • □ ペンや鉛筆の持ち方が不器用
  • □ 作文問題を避けようとする
  • □ 物事を思い出すのが遅い、又は苦手
  • □ 友達が出来にくい
  • □ ボディランゲージや表情を読み取ることが苦手
【高校生/大人】
  • □ 綴りが不正確。 同じ単語でも綴りを間違えてしまう
  • □ 読んだり、書いたりすることを避ける
  • □ 物事をまとめて理解できない
  • □ 記憶力が弱い
  • □ 仕事が遅い
  • □ 概念を理解することが苦手
  • □ 物事の詳細をあまりも気にしすぎるか、反対に気にしなさすぎる
  • □ 情報を正確に把握できない
  • □ 外国語習得がとても苦手
原因・危険要因

学習障害のはっきりした原因や危険要因はまだ良く分っていませんが、

  • 遺伝
  • 出産時や妊娠中に薬物、アルコール、タバコなどで汚染されたとき
  • 上記の要因又は、何かが成長の障害となり、それによって左脳の機能低下を起こしたとき

なども要因と言われています。

失読症 (Dyslexia)

人口の15%から20%がこの失読症を持っていると言われています。 失読症は学校教育の場での読書障害の最も大きな原因です。

文字を読むことは一見簡単に見える上、自然に難なく習得してしまうのが当たり前のようですが、本来は、文字を読むことは非常に複雑な工程を経て行われるものです。 一部の子供たちはこれが出来ずに苦闘することもあります。 文字を読むことは、自転車に乗ったり、水泳をするのと同じように、個々の動作を行うため正確なタイミングが必要になってきます。 これを正常な子供たちは練習により、読むこと自体にはあまり神経を使わなくても文字を読んでいけるようになります。 つまり読んだ内容を理解したり記憶したりする方にエネルギーを回せる様になり、読解力が身につくのです。

また失読症の子達は発音や発音への注意力に問題があると言われています。 ある研究によりますと、失読症が起こるのは、微妙な脳内での情報処理、特に言語中枢部分の問題であると言われます。 そのため、文字を読むことが自然には行われなくなり、読む行為自体にいつでも努力が必要になり、読むスピードも遅くなります。 この基本的な読むということが遅れてしまうことで、学年が進むにつれて必要になってくる読解力や包括力にも問題が出てくるようになります。

さらに失読症には、文字が逆転して見えるため読めなくなると言う問題もありますが、それよりも失読症の中核問題は、発音の問題、発音への注意力、そして単語の認識が速く出来ないということにあります。

○言語の発達障害の要注意症状:
【1才から2歳の子供】
  • □ 音に対して反応しない子
  • □ 1才児でジェスチャーを使わない子、例えばバイバイと手を振る
  • □ 18ヶ月の子で言葉に出すよりもジェスチャーを使う子
  • □ 18ヶ月の子で発音がうまく出来ない
  • □ 簡単な言葉による指示が分からない
【2才以上】
  • □ 言葉を真似するが自分から話さない
  • □ 一定の言葉しか話さない、又は必要最小限しか言葉でコミュニケーションできない
  • □ 言葉のみによる指示が理解できない、従えない
  • □ 声がおかしい。 キンキンした声。 鼻音
  • □ 言葉が不明瞭のため年令に相応した言葉が理解できにくい
    • 2才では大体50%くらいの言葉が理解可能
    • 3才では75%
    • 4才においてはほとんどの言葉が理解可能
○読み方のマイルストーン:
【1才まで】
  • □ 聞くことによって発声するようになる
  • □ 話しかけられると反応する
  • □ 絵や写真などを見る
  • □ 本を手に取るようになるまた、助けてあげるとページをめくる
  • □ 物語に声を出したり、本をたたいたりして反応する
【1才から3才】
  • □ 絵本などに載っている動物や物に対して質問をする
  • □ 見慣れた写真、絵、人物などの名前を言う
  • □ 指を指して物の名前を言う
  • □ 本を読むふりをする
  • □ 紙に何かを書こうとする
  • □ 本のカバーなどを記憶していて、どの本か分かるようになる
  • □ 自分の好きな本が出来てそれを頻繁に読みたがる
【3才】
  • □ 自分自身で本を見ようとする
  • □ 自分の知っている物語を繰り返し話す
  • □ アルファベットを暗誦する
  • □ 文字のようなものを書き出す
  • □ 声を出して本を読む
【4才】
  • □ よく見る入れ物などについているラベルやシンボルを認識できる
  • □ 多少の文字が理解でき、書ける
  • □ 自分の名前が分かるようになり、またそれを書ける
  • □ 文字と発音するものが一緒と分かる
  • □ 知っている文字を使って単語を書くようになる
【5才】
  • □ 話し言葉と書き言葉が一致し始める
  • □ 本をどちらから読んだらいいかが分かる。 左から右へ、上から下へなど
  • □ 数字や文字を書くようになる
  • □ よく知っている言葉や単語が分かるようになる
  • □ 物語でどんな展開をするかを推測するようになる
  • □ 以前に呼んで聞かされた物語を、他の人に話す
【6才、7才】
  • □ 知っている物語を自分で読む
  • □ 知らない言葉を、尋ねたり理解しようとする
  • □ 知らない言葉を物語の内容や絵、写真などで理解しようとする
  • □ きちんと句読点などを使う
  • □ 声を出して読んでいるときに間違えたら自分で直していく
【8才】
  • □ 長い物語を自分で読む
  • □ 声を出して読むときに抑揚や感情を入れることが出来る
  • □ 文章の節や段落と言う考え方が分かってくる、またそれを実際の文章に応用できる
  • □ 句読点が正しく使用できる
  • □ 簡単な単語を正確に書ける
  • □ ノートが取れるようになる
  • □ 自分の書いた文章を見直せる
聴覚処理障害 (Auditory Processing Disorders)

これはとても複雑な神経の問題で、就学児の約5%くらいに見られる障害です。

この子達は、私達が普通に聞いている情報を脳と耳の配線が正しく行われていないため情報処理がうまくいかずに、話し言葉を聞いていても間違って理解してしまう症状です。 しかし実際の聴力の低下はありません。

彼らは、しばしば発音の微妙な違いが理解できず、大きい声ではっきり話してもきちんと音が取れないのです。 特に周りに雑音があるときには、周りの雑音に惑わされて話し言葉を聞き取れなくなってしまうのです。

聴覚処理障害(Auditory Processing Disorders)の原因は、はっきりと分っていませんが研究によりますと、頭へのケガ、鉛の中毒症、慢性の耳の感染症などが関係あるのではないかと言われています。

聴覚処理障害を持つ子達の4つの大きな問題点は

  1. 周囲に雑音があるときに話されても注意がそれて言葉が良く聞き取れない。例えば、あまり静かではない教室内での会話など。
  2. 聴覚の記憶の問題がある。 彼らは指示やインストラクションを聞いてもそれをすぐ忘れてしまい、作業や勉強が進まなくなる。
  3. 聴覚識別の問題があり、似たような音の識別が苦手で言葉を混同してしまう。
  4. 指示や説明が長くなると途中で集中力が無くなってしまう。 例えば、講義を聴いていても途中までしか集中していない。
学習障害の主な症状
  • □ 書き言葉を習ったり覚えることに障害がある
  • □ 文字やシンボルなどの記憶が出来ない
  • □ 言語障害がある
  • □ 文字を学んだり、発音が出来ない
  • □ 書き言葉、話し言葉をうまくまとめられない
  • □ 読むことが遅すぎて内容の把握が苦手
  • □ 書き間違い
  • □ 外国語の習得に難がある
  • □ 数学の文章問題が苦手

一般の医学において、学習障害の治療はスピーチのトレーニングや心理療法など多岐にわたって行われます。 一方、私達カイロプラクティック機能神経科のドクターは、まず脳の機能を活性化させる為、脳のそれぞれの部分の結びつきや情報伝達のタイミングを適切な外部刺激によって強めて機能の回復を図っていきます。 学習障害は一生続く障害だと言われていますが、治療によって症状は軽減できるものです。

Updated on 2013/ 3/ 21

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Columnist's Profile

Chiropractic Functional Neurologist
Hiro Sugawara D.C.Hiro Sugawara, D.C.

空手や棒術などの武道に打ち込む中、少林寺拳法の整体に興味を持ち、それがきっかけになりカイロプラクティックを知り渡米。1990年に Palmer - Westカイロプラクティック大学を卒業、学位を取得、92年 Sunnyvale に開業現在に至る。94年には、公認スポーツカイロプラクター資格を取得、95年より2000年母校 Palmer - West大学にて講師を務める。98年より Chiropractic Neurology の勉強を始め神経科カイロプラクティックの知識を深め、さらに、平衡感覚リハビリテーション講座、交通事故のスペシャリストとしての Auto Safety Trainer講座、機能神経科としての Developmental Disorder Specialty (発達障害児講座) 等数々の講座を終了。現在も Mountain View のシニアセンターやPHP (Parent Help Parent) にてセミナーを行いながら更なるカイロプラクティックの知識と技術向上に努めています。

Hiro Sugawara, D.C.

990 W Fremont Ave Ste M, Sunnyvale CA 94087

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