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カイロプラクティックは面白い!

Updated on 2016/ 3/ 30

Vol.45 : 脳神経(Cranial Nerve)Cranial Nerve #1(CN 1)嗅覚神経(Olfactory Nerve)

大脳の下には、間脳(Midbrain)そして脳幹(Brain stem)、脊髄と続いていきますが、間脳と脳幹から12対の脳神経(Cranial Nerve)が出て、頭部や顔、首の運動機能、そして感覚機能のコントロールをします。私たち神経科カイロプラクティクドクターが治療をするとき、この脳神経を使って大脳、小脳に刺激を送ることが多くあり、この12対の神経は大きな意味を持つことになります。

脳は、真ん中にあればあるほど古く原始的で、つまり生きるために一番必要な基本的機能ということになります。この嗅覚神経(Olfactory Nerve)は脳神経中でもっとも真ん中にあります。

神経の一番端末は、鼻の奥にある非常に薄い膜(Cribriform Plate)で脳と隔てられた部分から神経の触手のような端末(大体20本ほど)が突き出ており、この神経に匂いの成分が接触して信号を起こします。そして端末の上にある嗅覚神経球(Olfactory Bulb)を刺激して、ここから大脳の一番下を通り、嗅覚神経の中枢へ向かって神経の信号を送って、脳内の中枢に達したときにここで匂いを感じることになります。嗅覚神経の端末部分に匂いの物質がたどり着くには、2つのルートがあります。1つ目は、鼻腔から匂い物質が端末神経に到達する場合、2つ目は喉から食べ物を咀嚼したときに出る匂い物質が神経に届く場合があります。風邪などで喉が腫れてしまったときに、物の味があまりしないというのは、このルートがブロックされたために起こります。

画像出典:Olfactory NerveFig 1.0 – Innervation of the nasal cavity. The olfactory nerve is responsible for the sense of smell. The nasociliary and nasopalatine nerves provide general sensation.

また嗅覚中枢には、外側、中間、内側中枢の3つの部分があり、この信号が入る部分によって匂いに対しての解釈が変わります。ほとんどの嗅覚信号は外側部分に入るのですが、内側の中枢に入った信号は、この中枢が感情の中枢と結びついていることで、ここに入った嗅覚信号は匂いに対して思い出や感情的な要素を加えます。何か特別な花の香り、海の匂い、食べ物の匂いによって、いろいろな記憶と繋がるのはこの嗅覚中枢故です。

そもそも、香りというのは生きる上で楽しみや思い出を加えてくれるものです。さらに嗅覚は、危険を知らせる警報の役も果たします。例えば、腐った食べ物を間違って食べないように、またはガス漏れや煙の匂いを知らせてくれます。そして正常な嗅覚があるならば、当然異常な嗅覚障害もあります。ときによって、これは重大な体の変調を知らせる手がかりになります。嗅覚がうまく機能しなくなることで味覚のバリエーションがなくなることがあります。酷くなるとチョコレートとオレンジの違いもあまり分からなくなってしまいます。

1%~2%のアメリカ人が嗅覚障害を持っていると言われます。年齢が上がってくることでこれは増えていき、大体25%の60歳から69歳の男性が嗅覚障害を持つと言われ、約11%の同年代の女性が嗅覚障害であるということです。嗅覚障害により食べ物の味が分からなくなり、それによって食欲が減退してしまい、栄養不良や体重減少などを引き起こします。もし成長過程の子供に嗅覚障害があると成長障害を起こしてしまいます。

嗅覚障害を起こす原因
  • 加齢
  • 鼻、呼吸器系の感染症
  • 喫煙
  • 鼻腔内のできもの
  • 頭のケガ
  • ホルモンの異常
  • 歯科関係の問題
  • 殺虫剤、溶剤などへの接触
  • ある種の薬品
  • 頭、首のガンの放射線治療
  • パーキンソン病、痴呆症からの影響
  • その他
嗅覚障害の種類
  • 錯嗅覚症(Parosmia)
  • 無嗅覚症(Anosmia)
  • 嗅覚減退(Hyposmia)
  • 幻想嗅覚症(Phantosmia)
錯嗅覚症(Parosmia)

食べ物などの本来の匂いを正しく感知できなくなってしまう病気です。これにより、ものを食べていてもその味が分からないので楽しめず、食べ物が悪くなっているような匂いを常に感じてしてしまい、食欲が減退してしまうということが起きます。最も多い症状は継続して感じる悪臭で、この悪臭が常に錯嗅覚症者を不快にさせてしまいます。

錯嗅覚症は、上方気道感染症(Upper Respiratory Infection 気管支炎、慢性鼻炎など)によって引き起こされることが多いです。

無嗅覚症(Anosmia)

片方の鼻だけが匂いを感じない場合もあります。この症状は感知されないときが多く、匂いを感じられないと思ったときは両方の鼻の嗅覚がなくなっています。無嗅覚症の最も大きな原因は頭へのケガで、特に後頭部に衝撃を受けた場合は、前頭部に同じような衝撃を受けたときの約5倍も無嗅覚症になりやすいデータがあります。

嗅覚減退(Hyposmia)

鼻の粘膜などの問題で起きる匂いが感じにくくなる症状です。風邪、鼻炎、アレルギー、喫煙、化学物質などを吸引してしまったときに粘膜の炎症によって起こる嗅覚障害です。

幻想嗅覚症(Phantosmia)

嗅覚の幻覚症状です。他の人たちが感じない存在しない匂いを、自分ひとりが感じる感覚です。これは頭のケガの後や、テンカン症状として起こることが多くあります。女性に起こりやすく、年齢層は15歳から30歳の女性が多く報告されています。ほとんどの場合、腐ったような匂いを全ての飲み物や食べ物に感じると言われます。

Updated on 2016/ 3/ 30

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Columnist's Profile

Chiropractic Functional Neurologist
Hiro Sugawara D.C.Hiro Sugawara, D.C.

空手や棒術などの武道に打ち込む中、少林寺拳法の整体に興味を持ち、それがきっかけになりカイロプラクティックを知り渡米。1990年に Palmer - Westカイロプラクティック大学を卒業、学位を取得、92年 Sunnyvale に開業現在に至る。94年には、公認スポーツカイロプラクター資格を取得、95年より2000年母校 Palmer - West大学にて講師を務める。98年より Chiropractic Neurology の勉強を始め神経科カイロプラクティックの知識を深め、さらに、平衡感覚リハビリテーション講座、交通事故のスペシャリストとしての Auto Safety Trainer講座、機能神経科としての Developmental Disorder Specialty (発達障害児講座) 等数々の講座を終了。現在も Mountain View のシニアセンターやPHP (Parent Help Parent) にてセミナーを行いながら更なるカイロプラクティックの知識と技術向上に努めています。

Hiro Sugawara, D.C.

990 W Fremont Ave Ste M, Sunnyvale CA 94087

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