インターナショナル ライフサイクル ファミリーセラピー International Lifecycle Family Therapy Inc. info@internationallifecycle.com

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第38回 : 
リスクがあってもやめられない。SNSとメンタルの関係

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第1回 : 
自分軸で生きよう!あなたに関わる大切なポイントを知る
第2回 : 
自分の心を知る。気持ち・感情・思考の観察のチェックポイント
第3回 : 
「怒り」や「悲しみ」を無視しない ネガティブな感情って何?
第4回 : 
ネガティブな感情をどう扱うか。健康的に手放す3つの方法とは?
第5回 : 
被害者意識の人間関係って?その1
第6回 : 
被害者意識の人間関係って?その2
第7回 : 
~あなたはどんな「メンタルの選択」をしていますか?
第8回 : 
メンタルヘルスにおいて重要な「自分との約束」
第9回 : 
心を掘り下げ新しい道筋を作る「根治療法」
第10回 : 
「顕在意識」と「潜在意識」
第11回 : 
「心」と「体」のお話
第12回 : 
癒やしにつながる脳と神経のお話
第13回 : 
「うつ」と「不安」の原因 ~外的要因について~
第14回 : 
「うつ」と「不安」の原因 ~内的要因について~
第15回 : 
トラウマについて
第16回 : 
トラウマの治療
第17回 : 
2023年はメンタルケアから。良好なメンタルヘルスを維持するポイント
第18回 : 
依存症とは① ~脳と依存の関係~
第19回 : 
依存症とは② ~タバコから処方箋まで。薬物依存~
第20回 : 
依存症とは③ ~コントロール不能で依存に。インターネットから恋愛まで~
第21回 : 
依存症とは④ 治療法「セルフケア」
第22回 : 
依存症とは⑤ 治療法「ソーシャルサポート」
第23回 : 
マインドセットが全て ~人生を変えたいアナタへ~(1)
第24回 : 
マインドセットが全て ~人生を変えたいアナタへ~(2)「マインドセットを変える方法10 前編」
第25回 : 
マインドセットが全て ~人生を変えたいアナタへ~(3)「マインドセットを変える方法10 後編」
第26回 : 
マインドセットが全て ~人生を変えたいアナタへ~(4)最終回「マインドセットと生きる意味について」
第27回 : 
子育てに悩んでいるアナタへ① ~子どもの発達を知る
第28回 : 
子育てに悩んでいるアナタへ② ~効果的なコミュニケーションとは
第29回 : 
心理セラピストが回答!「子育てQ&A」~子どもとうまくコミュニケーションを取るには~
第30回 : 
心理セラピストが回答!「子育てQ&A」~子どものトラブル。お母さんが過剰に反応していませんか?~
第31回 : 
心理セラピストが回答!「子育てQ&A」~子どもが勉強しない!どうすればいいの?
第32回 : 
心理セラピストが回答!「子育てQ&A」~お父さんとお母さんの意見の相違が、子どもを苦しめる
第33回 : 
心理セラピストが回答!「働きざかりの男性の不安障害」自分の心に向き合う。セラピーも検討を
第34回 : 
心理セラピストが回答!「カップルカウンセリングとは」夫婦で問題に向き合う機会を設ける
第35回 : 
憧れから落胆へ?国際結婚の問題点とは ①
第36回 : 
国際結婚における「コミュニケーション」の問題 ②
第37回 : 
自分の「当たり前」を見直す。異文化間コミュニケーションで起こる誤解とは
第38回 : 
リスクがあってもやめられない。SNSとメンタルの関係

心のケアと癒しに役立つ臨床心理のここだけのお話

心理カウンセリングやセラピーをしている中で、心の悩み、成長、癒しに関するいろんなトピックが出てきます。このコラムの中でその事をより多くの方にシェアして、皆様のお役に立てれればと思っております。

2024年10月 28日更新

第38回 : リスクがあってもやめられない。SNSとメンタルの関係

今回のコラムでは、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)とメンタルヘルスとの関係についてご説明します。新しいコミュニケーション手段として誕生したSNSは、現在全世界で普及しています。その種類は多彩で、特に「X(旧ツイッター)」「インスタグラム」「Tik Tok」「フェイスブック」などは、代表的なソーシャルプラットフォームとして利用者も多数にのぼります。

さらにスマートフォンの普及も相まって、SNSは私たちの日常に密接にかかわっています。例えば、趣味や学校などのグループアカウントに登録する必要があったり、情報収集方法の一つとして利用したり、もはやSNSを避ける方が難しい状況にあるかもしれません。また、なんとなく友人や好きな芸能人の投稿をチェックしてしまう人も意外に多いのではないでしょうか。

我慢のはけ口が他人に向く

SNSは、情報発信のスピードとグローバルな拡散力が利点として重視されていますが、昔のように、いわゆるメディアでなくても、一般の人々が自分の意見を述べたり情報を発信したりできる新しいツールでもあります。しかも、SNSでは匿名または顔を出さない形で自由に発信できます。実はここが問題で、批判や誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)の温床となる原因なのです。特に、普段から人とのつながりや良い関係性を重視し、言いたいことを我慢しがちな日本人にとって、SNSはストレス発散や過激な自己表現の手段として利用されることもあるようです。匿名という隠れ蓑を使い、普段は絶対に言わないような暴言を吐き、その結果社会に衝撃を与えるような大問題に発展することもあるのは周知の通りです。

やめられないのは「他人に認められたい」から

使い方次第では、メンタルヘルスに大きな影響を与えることが分かっているのに、なぜ人はSNSをやめられないのでしょうか。それはSNSが人間の承認欲求を簡単に満たしてくれるからです。承認欲求は、「マズローの欲求5段階説」にもある人間が持っている欲求の1つで、「他者承認(他者からの尊敬や評価)」と「自己承認(自己肯定感)」の2種類があります。例えば、他人から「いいね」をもらったり、コメントでほめられたりすると、承認欲求が満たされるのです。この時人間の脳の中で何が起こっているかというと、ドーパミンやオキシトシンといった「幸せホルモン」が分泌されます。SNS上なら、誰かと対面で話しをしたり外に出掛けたりする必要もありません。スマホ一台で簡単に承認欲求が満たされ、おまけに「幸せホルモン」が出るのですから、たくさんの人が依存してしまうのも無理はないのです。

簡単に幸せな気分になるならいいじゃないか、と考える人もいるかもしれませんが、これは少し危険です。というのも、外部からの承認に慣れてしまうと、自己承認、つまり自分で自分を認めたり受容したりといった「自己肯定感」や「自己受容」ができなくなることもあるのです。自己承認ができない人は、他者承認にすがってしまいます。要するに、自分軸ではなく他人軸で生き、人の言動に振り回されてしまうのです。

他にも、SNSで世界に発信するということは、同意や賛美を受けることもある一方で、理由もなく見知らぬ人からの誹謗中傷を受けるリスクが高まります。ギャンブルなどと同様に中毒性も高く依存してしまうこともあります。さらに、SNSは情報の真偽が不明瞭なこともあり、デマが広がりやすいこともあります。特に、子どもには家庭でも保護者がSNSを正しく使うようにアドバイスや指導する必要があります。SNSを利用する際は、まずその目的を明確にしましょう。

SNS依存を避けるためのアドバイス
時間制限を設ける

「日中だけ」「1日2時間」など、SNSを使用する時間を制限する。まずはできる範囲で始めてみましょう。

感情的な反応を控える

メッセージを送る前に、もう一度冷静に読み返すことが大切です。

感情的な投稿を避ける

感情が高ぶっている時はSNSで反応しないように心掛け、少し時間を置いてから内容を見直しましょう。

通知をOFFにする

SNSの通知は集中力を欠く原因にもなります。時間を決めて確認するようにします。

自己承認力を養う

SNSでの一時的な承認ではなく、自分で自分を認める「自己承認力」を養いましょう。瞑想 (第12回「癒やしにつながる脳と神経のお話」)や自己との対話(第2回「自分の心を知る。気持ち・感情・思考の観察のチェックポイント」)を通じて、自分の中で幸せを見つけましょう。

また、第8回コラムでは、自己承認欲求と関係の深い「自分との約束」について説明しています。ぜひご一読ください。

上記の内容が、落ち込みや不安解決の糸口になれば幸いですが、つらいときは一人で苦しまずに、心理カウンセリングやセラピーを受けてみるとよいと思います。

2024年10月 28日更新

皆さんのご意見、ご相談等ございましたら以下までご連絡ください。

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Columnist's Profile

インターナショナル ライフサイクル ファミリーセラピー(International Lifecycle Family Therapy Inc.)

CA州心理士免許(LMFT)と博士号を持つ経験豊かな2人のセラピストによる心理カウンセリングオフィス。多くの方々のより良い心の健康を目指し、個人、カップル、家族の心理セラピー/カウンセリングを日本語および英語で提供している。仁科盛次郎(心理療法士、LMFT#50945)および菱谷有希子(心理療法士、LMFT#53262)はCA州公認のマリッジファミリーセラピストで、専門は家族・カップル間のコミュニケーション、異文化や多文化における問題、思春期における心理やアイデンティティ問題、薬物依存治療など。多種多様な家族療法を取り入れたアプローチや、物の見方を変え解決方法の発見へと導くアプローチ、催眠療法などの潜在意識セラピーを提供。また、両者ともに移民難民、性犯罪にかかわる青少年更生、薬物リハビリテーション施設での経験を持つ。大学院講師としての活動及び後輩育成にも精力的に取り組んでいる。Youtube「カリフォルニアから心の癒しチャンネル」にて心にまつわるビデオ公開中。

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