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心のケアと癒しに役立つ臨床心理のここだけのお話

心理カウンセリングやセラピーをしている中で、心の悩み、成長、癒しに関するいろんなトピックが出てきます。このコラムの中でその事をより多くの方にシェアして、皆様のお役に立てれればと思っております。

Updated on 2024/ 5/ 31

Vol.33 : 心理セラピストが回答!「働きざかりの男性の不安障害」自分の心に向き合う。セラピーも検討を

カリフォルニア州で活動する心理療法士が、メンタルヘルスに関するご質問に回答します。
Q

2年前に渡米した40代の男性です。今年新しい部署に異動になりました。給料も上がり部下ともうまくやれています。やる気は十分あるのですが、途方もない重圧を感じて時折どうしようもない不安に襲われます。たまに眠れないこともあります。どうしたらこの不安はなくなるのでしょうか?これまでにもさまざまな問題に対処してきた経験と自信があり、自分ではメンタルは強い方だと思っています。

A
きっかけは仕事。男性の不安障害

近年、「不安」を感じる人が増えています。いわゆるパンデミックは収束したものの、世界では戦争や経済問題が勃発し、ここアメリカでも、物価高や解雇増、迫る大統領選挙への懸念や移民問題など、在米邦人にとっても不安の種は尽きないでしょう。このような社会的要因もあって、なんとなく「いらいら」したり、「おそれ」や「心配」がとまらなくなるのです。

ここ数年当院には、30~50代の男性で、仕事や日常生活に何らかの支障が起こり来院する人が多いです。そのほとんどは、メンタルヘルスについての知識や心理セラピーの経験がありません。不安障害は、頭痛、動悸、不眠、食欲の増減などの身体的症状として現れることがあり、主治医にかかって初めて気付くことが多いのです。つまり、本人が自覚していないことがほとんどです。そして、ご質問者さまのようにメンタルが強いと思っている人ほど、症状に気付かずに無理をして悪化してしまう傾向にあります。

基本的に、男性は仕事関係での行き詰まりを機に不安障害になることが多いと言えます。「新しい職場に変わった」「上司(部下)とうまくいってない」「仕事がおもしろくない」「仕事がきつすぎる」「クビになるかもしれない」など、きっかけはそれぞれですが、そこから前述のような身体的な症状や、「考え込む」「落ち込む」「パニックになる」といった精神的な症状が出たりします。

不安になる人は、起こってもいない未来に対し、悪い方に考えてしまう思考のクセがある場合が多いです。

「もし…売り上げが目標に届かなかったらどうしよう」
「もし…帰国命令や解雇になったらどうしよう」

最悪の状況を予想し、そのイメージを勝手に作り出してしまうのです。これがひどくなると不安にコントロールされ、「不安な考えが当たり前」という状態になってしまいます。不安が自動化され、それがあまりにも長く続くと、途中で心の糸がぷつんと切れてしまい「うつ」になることもあります。「不安」と「うつ」は人間の脳において兄弟のようなものです。最初は心配したり考えこんだりしたりして「不安」になるのですが、それがひどくなりあきらめや絶望感を感じると「うつ」に移行します。

心に向き合う解決策。セラピーも検討を

「不安」はその要因によって、自分で解消・軽減できることもあります。要因別にその解決策についてご説明しているので、興味のある人はぜひご一読ください。

不安の解決策

当院には主治医から勧められて来院される男性が多いのですが、精神的な問題を気合いや根性でなんとかしようとする人もいます。20~30代の男性には、気軽にセラピーを受けてみようという人もいますが、特に40代以上になると、「自分で解決できるはず」という強い思い込みを持っていたり、「恥ずかしい」「心理セラピーには抵抗がある」と、恥や罪悪感を感じる人がとても多いです。

心のケアはセルフケアの一つです。理髪店や整体に行くのと同じだと考えてみてはいかがでしょうか。セラピストとの相性も大切なので、まずは会って話をしてみること。このセラピストでなければいけないということはありません。イメージとしてはショッピングモールに出掛けた時に「ここは雰囲気がいいな」「店員さんに好感が持てるな」「商品が充実していて楽しいな」という感じで、気の合うセラピストを探してみるとよいと思います。

仕事にまい進するためにも、自分の心や感情にきちんと向き合うことも大切です。不安を感じたらまずは、上記にご提案した方法の中から、ご自分に合ったものを見つけてぜひ試してみてくださいね。

上記は、内省する際に役に立つポイントになると思いますが、悩みや不安にさいなまれつらいときは、一人で苦しまずに、心理カウンセリングやセラピーを受けてもよいと思います。

Updated on 2024/ 5/ 31

皆さんのご意見、ご相談等ございましたら以下までご連絡ください。

info@internationallifecycle.com

Columnist's Profile

インターナショナル ライフサイクル ファミリーセラピー(International Lifecycle Family Therapy Inc.)

CA州心理士免許(LMFT)と博士号を持つ経験豊かな2人のセラピストによる心理カウンセリングオフィス。多くの方々のより良い心の健康を目指し、個人、カップル、家族の心理セラピー/カウンセリングを日本語および英語で提供している。仁科盛次郎(心理療法士、LMFT#50945)および菱谷有希子(心理療法士、LMFT#53262)はCA州公認のマリッジファミリーセラピストで、専門は家族・カップル間のコミュニケーション、異文化や多文化における問題、思春期における心理やアイデンティティ問題、薬物依存治療など。多種多様な家族療法を取り入れたアプローチや、物の見方を変え解決方法の発見へと導くアプローチ、催眠療法などの潜在意識セラピーを提供。また、両者ともに移民難民、性犯罪にかかわる青少年更生、薬物リハビリテーション施設での経験を持つ。大学院講師としての活動及び後輩育成にも精力的に取り組んでいる。Youtube「カリフォルニアから心の癒しチャンネル」にて心にまつわるビデオ公開中。

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