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心のケアと癒しに役立つ臨床心理のここだけのお話

心理カウンセリングやセラピーをしている中で、心の悩み、成長、癒しに関するいろんなトピックが出てきます。このコラムの中でその事をより多くの方にシェアして、皆様のお役に立てれればと思っております。

Updated on 2022/ 7/ 27

Vol.11 : 「心」と「体」のお話

知ってるようで知らない「心」と「体」の関係

前回は「顕在意識」と「潜在意識」についてご説明しました。私がクライアントさんに心理セラピーを行う際、まずお聞きするのは「今どんな気持ちを抱えているのか」ということです。つらい、悲しい、不安といった負の感情は、人間の潜在意識の入口で、メンタルヘルス治療においてとても大切です。

心の状態を把握したら、次にお聞きするのは体の状態です。心の反応は体にも表れるのですが、意外にも人間は不安な気持ちにはフォーカスしても、体がどんな反応をしているか知らないことが多いのです。体はいろんなメッセージを送ってくれています。例えば、不安のあまり「手が汗ばんでくる」「胸がしめつけられる」「胃がしくしくする」など、抱えている感情と体は驚くほど連動しているのです。

ここで、人間の脳について少しご説明します。「手が汗ばんでくる」といった体の反応の指令はどこから来るのでしょうか。これはズバリ、脳からなのです。脳の真ん中にある大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)があり、ここが、人間の喜怒哀楽の感情をはじめ、記憶や自律神経活動(扁桃体、海馬、視床下部などを通して)に関与しています。最終的に体の反応を起こす始まりがこの大脳辺縁系です。

戦うか、逃げるか、固まるか

危機的な状況において人は「逃げる(Flight)」または「戦う(Fight)」という反応をします。これらに加え、脳の進化と共に「固まる(Freeze)」という反応も出てきました。逃げるまたは戦うではなく、脳を固める、つまり遮断して諦めるという判断になります。脳がメンタルを守るために機能を遮断し、ときにはその記憶がなくなってしまうこともあります。これは、その時起こっている出来事が、自分の脳で理解できる、処理できる範疇(はんちゅう)を超えてしまっている時に起きて、これが俗に言うトラウマ体験の一部になります。

「固まる」反応の例を挙げると、親から虐待を受けた子どもが、最初は逃げようと試みますが、それができず、さらに力でも叶わない、戦えないと脳が感じると遮断するのです。体もそれに合わせて反応し痛みを感じなくなることさえあります。そして、厄介なことに脳がその状態に慣れてしまうと、その後同じような体験をするとすぐその状態になってしまうこともあります。

記憶と反応の関係性

そして、心と体のつながりは、記憶とも深い関係があります。例えば、あなたがどこかのレストランに行った時に注文した料理を食べた時、なぜかうれしい、懐かしいといったポジティブな感情が湧いたとします。その時体の力も抜けゆったりとリラックスしているはずです。実はその料理はあなたの大好きなお母さんの味付けに似ており、そのせいで過去のうれしい記憶がよみがえってきたのです。実はこれが潜在意識です。潜在意識は隠された記憶で、普段は表面に出てきません。しかし、これがとても重要で人の体の反応にかかわってくるのです。

記憶と関連する体の反応には、前出のようなポジティブなものもあれば、特定のにおいをかいだ時に血の気が引くといったネガティブなものもあります。五感による体の記憶なのですが、自分では気付いていないことが多いのです。

脳に新しい回路を作る治療法

脳の機能にまで話が及びましたが、要するに不安などの感情を感じた時は、自分の体がどうなっているのかを知ることが大切なのです。セラピーなどの治療を行う際も、このようなネガティブな体の反応を意識的に見ていきます。

治療においては「体が覚えていることを、体を使って出す」ことが重要となります。例えば、親に殴られた記憶がよみがえると体がガチガチに固まってしまう人の場合、いったんその状態に戻り、そこで指先を少し動かしてみる、その場から逃げる、盾を使って防ぐなど、過去とは違う反応を意識的に行うようにします。昔の体の反応から新しい反応に変える、つまり嫌な記憶を上書きして新しい回路を作るのです。

体の反応は自分では気付かない潜在意識がかかわっているので、つらいときは一人で苦しまずに、心理カウンセリングやセラピーを受けてみるとよいでしょう。

Updated on 2022/ 7/ 27

皆さんのご意見、ご相談等ございましたら以下までご連絡ください。

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Columnist's Profile

インターナショナル ライフサイクル ファミリーセラピー(International Lifecycle Family Therapy Inc.)

CA州心理士免許(LMFT)と博士号を持つ経験豊かな2人のセラピストによる心理カウンセリングオフィス。多くの方々のより良い心の健康を目指し、個人、カップル、家族の心理セラピー/カウンセリングを日本語および英語で提供している。仁科盛次郎(心理療法士、LMFT#50945)および菱谷有希子(心理療法士、LMFT#53262)はCA州公認のマリッジファミリーセラピストで、専門は家族・カップル間のコミュニケーション、異文化や多文化における問題、思春期における心理やアイデンティティ問題、薬物依存治療など。多種多様な家族療法を取り入れたアプローチや、物の見方を変え解決方法の発見へと導くアプローチ、催眠療法などの潜在意識セラピーを提供。また、両者ともに移民難民、性犯罪にかかわる青少年更生、薬物リハビリテーション施設での経験を持つ。大学院講師としての活動及び後輩育成にも精力的に取り組んでいる。Youtube「カリフォルニアから心の癒しチャンネル」にて心にまつわるビデオ公開中。

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