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心のケアと癒しに役立つ臨床心理のここだけのお話

心理カウンセリングやセラピーをしている中で、心の悩み、成長、癒しに関するいろんなトピックが出てきます。このコラムの中でその事をより多くの方にシェアして、皆様のお役に立てれればと思っております。

Actualizada en 2024/11/ 26

39 vez : 楽しい季節がうつを助長する!? 「ホリデーブルー」とは

イルミネーションが街を彩る季節になってきました。アメリカでは、サンクスギビング(感謝祭)から年明けまで、ホリデーシーズンに入ります。心躍る楽しい季節ですが、メンタルヘルスに大きな影響を与える時期でもあります。

今回のコラムでは、「ホリデーブルー」の原因やその対策についてご紹介します。

「ホリデーブルー」とは

「ホリデーブルー」とは、ホリデーシーズンに不安や落ち込み、うつになってしまう病状です。一般的に、ホリデーシーズンは家族や友人と集まり楽しい時間を過ごす時期として考えられています。しかし、家族がいない人や人との付き合いがない人にとっては、それがさらに孤独感や疎外感を高める原因になります。きらびやかなデコレーションや華やかな街並みによって、一層その感覚は強くなることもあります。

ホリデーシーズンに楽しい思い出がある人にとっても、つらい出来事などが原因で「ホリデーブルー」になってしまうこともあります。例えば、ホリデーシーズン中に恋人と別れてしまったり、家族が亡くなったりといったことが起こると、その季節が苦手になります。過去の記憶が感情を揺さぶり、悲しみや孤独感を強めることがあるのです。

異文化や季節性も影響

また、文化の違いや季節性も、不安やうつの要因になります。例えば、日本ではお正月が最も重要な季節行事とされていますが、アメリカではクリスマスやサンクスギビングが家族と過ごす特別な時間として重視されます。この文化的・宗教的な違いは、異文化圏で暮らす人々にとって孤独感を深めることがあります。心身ともに元気な人でも、お正月に日本で家族と過ごしたいと考え、寂しさを覚える人も少なくないのではないでしょうか。このように社会における環境と個人の状況などによっても大きく関わってきます。

さらに、冬は夏に比べて日照時間が短く、これが気分の落ち込みやうつ症状の原因になることがあります。「季節性感情障害(SAD)」という冬季うつ病のリスクが高まるのです。これは秋から冬に症状が出て春に落ち着いてくるのが特徴です。日光を浴びることは、セロトニン(幸せホルモン)といった脳内物質の分泌を促してくれます。また、睡眠の質を上げるメラトニンやビタミンDの生成を助けるため、人間の心身にとって非常に重要です。

「ホリデーブルー」対策とアプローチ

「ホリデーブルー」問題に対する具体的な対策として、次のような方法が挙げられます。

日光に当たる
  • 屋内で仕事をしている場合は、できるだけ自然光を取り入れる工夫を行う。または屋外で過ごす時間を増やす。
  • 家の中に日光が入らない場合は、明るめの電球を使用し日光浴に近い環境を作る。
人とつながる
  • 人と積極的に話す機会を持つ。例)地元のコミュニティーセンターでのイベントや、通っているスポーツジムの催し物に参加する。
  • 趣味や興味を共有するグループに参加し、新しい人間関係を築く。
  • オンラインだけでなく、対面の交流を増やす。
  • ボランティア活動をする。
新しい挑戦をする
  • 新しい趣味を見つける、または以前やっていた趣味を再開する。
  • 語学学習やクラフトなど、興味を持っていたことに挑戦する。
自分自身を見つめ直す
  • 紙に「やりたいことリスト」を書き出す。人には恥ずかしくて言えないことでもOK。とにかく具体的に書き出してみる。自分の気持ちに向き合うことで、気付きとなり、それが実際の行動につながることもある。
    • 例)「死ぬまでにやってみたい100のこと」
    • 例)「年齢ごとに達成したい目標」
  • 自分の文化やアイデンティティーに触れる。※在米邦人の方へのアドバイス
    • 日本の食材を使った料理を作る。
    • 日本のテレビドラマを観る。

最後に、どのようなメンタルヘルスの問題においても、「1人の時間」と「人とのつながり」のバランスが重要です。人間は独りでいると考えすぎてしまう傾向がありますが、人との交流は新しい刺激や感覚をもたらしてくれます。家族や友人との思い出は、最終的に人が人生の幸せを感じる源となることが多いです。

無理なくできることからスタートし、社会的なつながりを見つけて、心穏やかなホリデーシーズンをお過ごしください。

上記の内容が、落ち込みや不安解決の糸口になれば幸いですが、つらいときは一人で苦しまずに、心理カウンセリングやセラピーを受けてみるとよいと思います。

Actualizada en 2024/11/ 26

皆さんのご意見、ご相談等ございましたら以下までご連絡ください。

info@internationallifecycle.com

Columnist's Profile

インターナショナル ライフサイクル ファミリーセラピー(International Lifecycle Family Therapy Inc.)

CA州心理士免許(LMFT)と博士号を持つ経験豊かな2人のセラピストによる心理カウンセリングオフィス。多くの方々のより良い心の健康を目指し、個人、カップル、家族の心理セラピー/カウンセリングを日本語および英語で提供している。仁科盛次郎(心理療法士、LMFT#50945)および菱谷有希子(心理療法士、LMFT#53262)はCA州公認のマリッジファミリーセラピストで、専門は家族・カップル間のコミュニケーション、異文化や多文化における問題、思春期における心理やアイデンティティ問題、薬物依存治療など。多種多様な家族療法を取り入れたアプローチや、物の見方を変え解決方法の発見へと導くアプローチ、催眠療法などの潜在意識セラピーを提供。また、両者ともに移民難民、性犯罪にかかわる青少年更生、薬物リハビリテーション施設での経験を持つ。大学院講師としての活動及び後輩育成にも精力的に取り組んでいる。Youtube「カリフォルニアから心の癒しチャンネル」にて心にまつわるビデオ公開中。

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