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「なんとかなる」を信じる。不安と向き合うあなたに心のケアと適応のヒント

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自分軸で生きよう!あなたに関わる大切なポイントを知る
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自分の心を知る。気持ち・感情・思考の観察のチェックポイント
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「怒り」や「悲しみ」を無視しない ネガティブな感情って何?
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マインドセットが全て ~人生を変えたいアナタへ~(3)「マインドセットを変える方法10 後編」
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マインドセットが全て ~人生を変えたいアナタへ~(4)最終回「マインドセットと生きる意味について」
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子育てに悩んでいるアナタへ① ~子どもの発達を知る
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子育てに悩んでいるアナタへ② ~効果的なコミュニケーションとは
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心理セラピストが回答!「子育てQ&A」~子どもとうまくコミュニケーションを取るには~
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心理セラピストが回答!「子育てQ&A」~子どものトラブル。お母さんが過剰に反応していませんか?~
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心理セラピストが回答!「子育てQ&A」~お父さんとお母さんの意見の相違が、子どもを苦しめる
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心理セラピストが回答!「働きざかりの男性の不安障害」自分の心に向き合う。セラピーも検討を
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心理セラピストが回答!「カップルカウンセリングとは」夫婦で問題に向き合う機会を設ける
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憧れから落胆へ?国際結婚の問題点とは ①
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リスクがあってもやめられない。SNSとメンタルの関係
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楽しい季節がうつを助長する!? 「ホリデーブルー」とは
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Vol.42 : 
「なんとかなる」を信じる。不安と向き合うあなたに心のケアと適応のヒント

心のケアと癒しに役立つ臨床心理のここだけのお話

心理カウンセリングやセラピーをしている中で、心の悩み、成長、癒しに関するいろんなトピックが出てきます。このコラムの中でその事をより多くの方にシェアして、皆様のお役に立てれればと思っております。

Updated on 2025/ 2/ 28

Vol.42 : 「なんとかなる」を信じる。不安と向き合うあなたに心のケアと適応のヒント

1月にロサンゼルスで発生した大規模な山火事は、多くの人に心身ともに大きな影響を与えています。被害を受けた方々だけでなく、直接の被害がなくても将来への不安を感じている方も少なくありません。今回のコラムでは、現状の不安や適応の難しさについて考えながら、心のケアと前向きな対応策を紹介します。

予想外の出来事が不安を生む

私たちは時に、予期せぬ出来事に直面することがあります。それが目の前で起こると強いショックを受け、時にはトラウマ(またはPTSD—心的外傷後ストレス障害)や不安・適応障害を引き起こすこともあります。

今回のロサンゼルス大規模山火事で言えば、身近で起きた大きな自然災害というだけでなく、今後予想される、例えば家屋保険や家賃の値上げ、周辺地域の不動産への影響など、これまで一度も考えもしなかったようなことが、不安要素として突如浮上してくることもあるでしょう。

この将来に対する漠然とした心配や恐れ―未知への恐怖(Fear of Unknown)が「適応障害」や「不安障害(GAD: 全般性不安障害)」の要因となることがあるのです。

適応障害は、環境の変化に対応できずにストレスを抱える状態を指します。例えば、火事による避難生活や経済的な負担が続くことで、「気分が落ち込み、何もやる気が起きない」「食欲や睡眠に影響が出る」などの症状が現れることがあります。一般的には3カ月から6カ月以内には適応できるものですが、長引くと不安障害やうつ状態へと進行することがあるため、専門家のサポートが必要です。

不安障害には、不安的要素と抑うつ的要素が含まれています。例えば、予想外の出来事があった後、2週間以上気分が落ち込み、日常生活に支障をきたすような場合、それは「大うつ病(Major Depression)」と診断される可能性があります。また、躁鬱病(バイポーラ)や、慢性的に軽度の抑うつ状態が続く「持続性抑うつ障害(Dysthymia)」など、さまざまな種類の精神的な影響が考えられます。

不安が続くとどうなるか

不安が続いた状態でいると、食欲や睡眠欲がなくなり、ネガティブな考えに支配されることがあります。「自分はダメだ」と思い込んでしまうと、どんどん負のループにはまり込んでしまうのです。また、過去のトラウマは、それが起きた特定の時期や状況において、突然鮮明に思い出されるフラッシュバックを引き起こすことがあります。例えば、山火事を経験した人が煙の匂いや炎の映像を見たときに、当時の恐怖やパニックがよみがえり、強いストレス反応を引き起こすことがあります。これはPTSDの一症状としても知られています。

不安への対処法
1. 独りで抱え込まない
不安やストレスは、独りで抱え込むと悪化しやすいものです。例えば、火事で家を失った時、独りで解決しようとすると、ネガティブな考えが増し精神的な負担が大きくなります。そのため、信頼できる友人や家族、専門家に相談することが重要です。
2. セルフケアを意識する

まずは、基本的な生活習慣を整えることが大切です。十分な睡眠をとり、栄養のある食事をし、シャワーを浴びて体を清潔を保つ。こうした小さなことが、精神的な安定につながります。

特に日本人男性の中には、感情を吐露するのが苦手な人が多い傾向があります。そのため、セルフケアがおろそかになりやすく、最終的に自己放置(セルフネグレクト)につながることもあります。
3. ネガティブ思考をコントロールする
認知行動療法の一つとして、「思考のストップサイン」を使う方法があります。例えば、「なんで私だけがこんな目に」と考えがちですが、それに対して「ちょっと待てよ」といったんストップをかけることが重要です。そして、別の視点から物事を見ることで、考え方が変わっていきます。
4. 情報過多に注意する
現代は情報があふれており、不安をあおるようなニュースも多くあります。そのため、自分なりの「基準」を持つことが大切です。「本当にそうなのか?」「他の視点から見たらどうか?」と考え、情報を取捨選択することで、冷静に状況を判断できるようになります。
5. 「なんとかなる」のマインドセット
「どうにもならない」と思うと、不安がさらに大きくなります。禅僧・一休宗純の「大丈夫だ、心配するな、なんとかなる」という言葉のように、「状況は変えられる」「解決策がある」と考えることで、前向きな行動につながります。
まとめ

不安やストレスに直面したときは、まず自分の安全を確保し、基本的な生活習慣を整えることが第一歩。その後、ネガティブ思考に「ちょっと待て」とブレーキをかけ、プランを立て、行動に移すことが重要です。一休宗純の「大丈夫だ、心配するな、なんとかなる」という言葉のように、どんな状況でも前向きに乗り越えていける心の持ち方が大切なのです。最終的には、実際に行動を起こし、支援を求めながら進んでいくことが、不安を乗り越える鍵となります。

最後に、今回の山火事で被災された方に、心よりお見舞い申し上げます。上記の内容が不安解決の糸口になれば幸いですが、つらいときは独りで苦しまずに誰かに相談してみましょう。連邦、州、自治体による無料カウンセリングなどの支援制度もあります。ぜひご活用ください。

Updated on 2025/ 2/ 28

皆さんのご意見、ご相談等ございましたら以下までご連絡ください。

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Columnist's Profile

インターナショナル ライフサイクル ファミリーセラピー(International Lifecycle Family Therapy Inc.)

CA州心理士免許(LMFT)と博士号を持つ経験豊かな2人のセラピストによる心理カウンセリングオフィス。多くの方々のより良い心の健康を目指し、個人、カップル、家族の心理セラピー/カウンセリングを日本語および英語で提供している。仁科盛次郎(心理療法士、LMFT#50945)および菱谷有希子(心理療法士、LMFT#53262)はCA州公認のマリッジファミリーセラピストで、専門は家族・カップル間のコミュニケーション、異文化や多文化における問題、思春期における心理やアイデンティティ問題、薬物依存治療など。多種多様な家族療法を取り入れたアプローチや、物の見方を変え解決方法の発見へと導くアプローチ、催眠療法などの潜在意識セラピーを提供。また、両者ともに移民難民、性犯罪にかかわる青少年更生、薬物リハビリテーション施設での経験を持つ。大学院講師としての活動及び後輩育成にも精力的に取り組んでいる。Youtube「カリフォルニアから心の癒しチャンネル」にて心にまつわるビデオ公開中。

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