赤十字ベイエリアチャプターからのお知らせ

赤十字では、地震を含めた災害から自分の身を守るために知っておくべきことや、準備しておかなければいけないことを詳しくご案内しています。この機会にもう一度ご自身の防災対策を見直しましょう。

2011年 1月 2日更新

第11回 : 災害対策-様々な怪我への応急処置法

今回は “基本的な緊急時の対応の仕方 - 3Cと赤十字講習 ” で紹介した緊急時の対応の仕方についてもう少し深くほり下げた下記の内容についてお話したいと思います。

あなたは、打撲や、切り傷、骨折などをしてしまった場合の正しい対処法を知っていますか?

A. 日常的なけがの手当
  1. 軽度閉鎖創 ... 例 : 軽度のやけど、打撲、捻挫、骨折など
  2. 軽度開放創 ... 例 : 切り傷、さし傷、擦り傷など
  3. 熱傷(やけど)
  4. 鼻出血
B. 骨や関節のけがの手当
  1. 一般的な手当 : R.I.C.E
  2. 副木を使った手当

前回では “災害対策-トレーニングを受ける必要性 ” で実際に地震が起こっときの被害と、トレーニングについて紹介しました。 被害予想を図で表したとおり約80%の病院,や消防署、警察署が地震による被害を受け、多くの建物が大きなダメージを受けるだろうと予想されています。 災害時は何が起こるかわかりません。 思わぬところから火の手が上がったり、高いところから物が降ってくることがあるかもしれません。 大きな怪我につながるようなこともあるでしょう。 緊急時の際には適切な処置の方法を知っておくことが重要になります。

A. 日常的なけがの手当
(1) 軽度閉鎖創 ... 例 : 軽度のやけど、打撲、捻挫、骨折など
  • 傷を直接圧迫する。
  • より強い痛みを引き起こさないようであれば、負傷している部位を上げる。
  • 氷かコールドパックを当てる。
    • 氷かコールドパックを使うときは、ガーゼパッド、タオル、または他の布を皮膚との間に当てる。
    • 20分以上継続して冷やさない。
    • 継続して冷やす必要がある場合は20分間中断して再度冷やす。

激痛を訴える、痛くて身体を動かせない、またはその傷が深刻なものであると考えられる場合は、医師の処置を受けるようにする

(2) 軽度開放創 ... 例 : 切り傷、さし傷、擦り傷など
  • 手で直接傷口には触れない。可能であればすぐに使い捨て手袋をつけ、滅菌ガーゼなどを傷に当てる。
  • どんな出血であっても数分間直接圧迫する。
  • 傷口を石けんと水で完全に洗う。可能であれば、清潔な水道水を流しながら5分間傷口を洗う。
  • 薬物アレルギーや過敏症がなければ、抗生物質の入っている軟膏またはクリームを3回塗布する。
  • まだ出血がみられるか、傷口が土や細菌に触れそうであれば、滅菌ガーゼや包帯、ばんそうこうで傷口を被う。
(3) 熱傷(やけど)
  • 痛みが和らぐまで大量の水道水を流しながら冷やす。
  • 滅菌した包帯でやけどをゆるく覆う。
(4) 鼻出血
  • 軽く下を向くように座らせる。
  • 約10分間鼻をつまむ。
  • コールドパックを鼻筋に当てる。

それでも出血が止まらなければ下記の事を行なう。

  • 鼻のすぐ下の上唇を圧迫する。
  • 意識を失った場合、誰かに911または市内緊急連絡先への連絡を頼み、鼻から血が流れ出るようにその人を横に傾ける。
B. 骨や関節のけがの手当
(1) 一般的な手当 : R.I.C.E

骨折などの怪我を負った場合は “ R.I.C.E 安静、固定、冷却、高拳 ” で手当てする。

  • Rest - 安静

    負傷部位を動かさない、または真っ直ぐにしない。

  • Immobilize - 固定

    負傷部位を固定、安定させる。 不傷者が移動しなければならない場合や痛みを伴わない場合により痛のみ負傷した部位に副木を当てる。

  • Cold - 冷却

    ビニール袋に氷を入れるか少し水を含ませた布で氷を包み、約20分間負傷部位に当てる。 継続して冷やす必要がある場合は、20分間中断した後再度冷やす。 直接氷が皮膚に当たらないようにする。

  • Elevate - 高挙

    より強い痛みを引き起こす場合は負傷部位を高くしてはいけない。

(2) 副木を使った手当

副木(ふくぼく) : 骨折部などの動揺を防ぐため、上肢、下肢及び体に当てる支持物

  • 身体を使った副木

    人の身体は副木になる。 例えば、腕と胸、または負傷した足と負傷していない足を添えて固定する。

  • 軟らかい素材による副木

    折り重ねた毛布やタオル、枕など軟らかい素材、または三角巾は副木になる。 三角巾は結ぶことで負傷した腕、手首または手を支えることが出来る副木用の布である。

  • 硬い素材による副木

    板、折り重ねた雑誌や新聞、または危なくない金属片は副木として用いることが出来る。

  • 地面を使った副木

    負傷した足を地面に伸ばすと、地面が副木となり固定される。

みなさん、怪我への正しい対処法を理解していただけたでしょうか? これらはまだまだ基本的な対処法ですが、前回のコラムでもお話ししたとおり、強度の地震が起こったときなどは病院や、消防署からの支援を受けることが難しくなります。 様々な怪我への対処法を知ることは、いざというと時に必ず役に立つでしょう。 今回のコラムをきっかけに、応急処置の知識を深める重要性を再確認して頂けたら幸いです。

さらに詳しく応急処理について知りたいと思う方は、応急処置のトレーニングを受けることも可能です。 アメリカ赤十字でも災害対策の様々なトレーニングコースを実施しています。 応急処置法やCPR/AEDの知識を学ぶ総合的なコースや、CPR/AEDのみのトレーニングコースなども行っています。 実際に人形を使い、体験しながら進めていく質の高いトレーニングです。 また、あなたの職場やコミュニティでも実施可能ですし週末などの日時指定もできます。

記事担当 : 中野 透

2011年 1月 2日更新

赤十字や防災対策についてもっと詳しく知りたい方は是非下記のリンクをご覧ください。
"Get Prepared"のセクションに行っていただくと、日本語のパンフレットなどがご覧いただけるようになっています。

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http://www.redcrossbayarea.org

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