赤十字ベイエリアチャプターからのお知らせ

赤十字では、地震を含めた災害から自分の身を守るために知っておくべきことや、準備しておかなければいけないことを詳しくご案内しています。この機会にもう一度ご自身の防災対策を見直しましょう。

2011年 5月 2日更新

第12回 : 東日本大震災への義援金に関する報告と地震対策の再確認

今回のコラムでは、3月29日に発表されたアメリカ赤十字本部からのレポートと地震対策を再確認して頂くために、地震対策の確認事項をご案内させて頂きます。

2月22日、ニュージーランド南島の都市・クライストチャーチで発生した大地震(380名以上の犠牲者・3月24日現在)につづき、3月11日には日本でマグニチュード9.0の巨大地震が発生しました。 この地震、東日本大震災では死者数1万4500人、行方不明者数1万1500人(4月27日現在)の犠牲者が出ました。 東日本大震災では強い地震によって発生した津波が沿岸から何マイルも離れた内陸まですべてのものを破壊しました。 これによって水死が原因で亡くなった方が90%を占めています。 1回津波が終わったあと、もう来ないと思い自宅などに戻り被災した人もいます。 1ヶ月半たった今でも余震は続いており、原子力発電所は今でも油断できない状態です。 いまだに避難所生活をしている人がたくさんいます。

地震が発生したとき、私は(長谷川)東京で震度5強の地震に遭いました。 地震が発生した当日は、電車などの交通網がストップし、何時間もかけて歩いて帰る人や、体育館などの施設で寝泊りする人など帰宅困難者がたくさん出ました。 地震が起きて数日間はガソリンスタンドに列ができ、スーパーやコンビニなどでは水や米、パンなどが店頭に並ばない状態が続きました。 これは東京に配達が来れなかったことに加え、地震により多くの人が食料などを買い占めようとしたからだといわれています。 普段から地震に備えている日本でさえ、大変な混乱にみまわれました。 震源地から離れた東京でもこのような混乱状態だったので、震源地付近ではもっとひどい状態だったことは言うまでもありません。

今回の東日本大震災の被災者のために、約1億2000万ドルもの義援金がアメリカ赤十字に寄せられました。 これに関するレポートが3月29日付と4月28日付で赤十字の本部から発表されておりますので、このコラムを通してご案内させて頂きます。 アメリカ赤十字に寄せられた義援金が実際にどのように日本で活用されているのかをご理解頂ければ幸いです。

Public Donates over $120 Million to American Red Cross to Assist Japan Earthquake and Tsunami Survivors

ワシントン、2011年3月29日(火)

本日、アメリカ赤十字社は3月11日に日本で発生した地震および津波での被災者支援のため、寛大なる1億2050万ドル($120.5 million)を寄付したことを公表した。 火曜日に日本領事館の報道会見で駐米日本大使、藤崎一郎氏とアメリカ赤十字会長ボニー・マックエルビーン・ハンター氏によって発表された。

この寄付されたお金は東日本大震災のためにあてられ、被災者に緊急救援物資、医療サービスやカウンセリング(こころのケア)を提供している日本赤十字に義援金が送られる。 アメリカ赤十字は地震直後に1000万ドル支援することを約束し、数日後にはさらに5000万ドル日本赤十字に支援した。 残りの義援金は集まり次第送られる。

日本赤十字の活動援助のためにあてられた義援金に加えて、アメリカ赤十字は生存者への物質援助として救援物資の配達、貯蔵のために United Nation's World Food Programme に50万ドルを寄付した。 また、アメリカ赤十字は日本から自主撤退しているアメリカ軍人家族のサポートも行っている。

「 (中略) 世界の最も大きな人道主義組織の役目を担うアメリカ赤十字は、スタッフやボランティアが疲れを忘れて被災者の支援にあたり、われらのパートナーである日本赤十字を心からサポートしたいと考えている。」 とデービット・メルツアー(American Red Cross, Senior Vice President of International Services)は言う。

「9.11テロ事件やごく最近のカタリナハリケーンでは、われわれがすさまじい損失に苦しんだとき、日本が寛大なこころをくれたことをアメリカ住民とアメリカ赤十字は忘れてはいない。」 とボニー・マックエルビーン・ハンター(American Red Cross, Chairman of the Board of Governors)は言う。 「日本赤十字は3000万ドルの義援金をわたしたちに寄付してくれた。今回は私たちの番である。今自分たちができることをすることがわれわれの任務だと考えている。」

アメリカ赤十字はこれらの義援金が必需品や医療などの緊急救援活動への支援に使われることを望んでいる。 落ち着いた後は、この義援金が長期に渡る復興作業にあてられることとなる。 アメリカ赤十字は地震後日本への支援のためにアジア太平洋地域の提携国と親密なコンタクトをとっている。 日本赤十字はアメリカ住民とアメリカ赤十字の支援に感謝の意を述べている。

日本赤十字は200万人の登録ボランティアスタッフがいる洗練された災害救援組織だ。 この多くのボランティアスタッフたちが地震、津波、原子力発電で影響を受けた地域の被災者に対応してきている。 日本赤十字のボランティアやスタッフは今もなお被災者への健康管理、情緒的サポート(こころのケア)や救援物資の提供を行なっている。 日本赤十字は赤十字病院で形成された数多くの医療チームがあり、被災者を治療するための病院車両を持っている。

地震と津波の直後に、赤十字は被災者を助けるため貯蔵から救援物資を発送した。 また12万5,500枚のブランケットと2万5,000個の緊急用具一式を提供した。 赤十字は避難所生活している生存者のための救援活動を増やし、10万人に必需品を提供する計画をしている。 また、まだ未だ避難所生活をしている方を支援するため、地方自治体とも協力している。 結果として生存者たちの生活状態は改善しつつある。 避難所生活をしていた人数がピーク時の約50万人から24万4000人まで下がった。 必需品や燃料はさらに被災地に届いている。 しかしながら原子炉周辺の需要はまだ混乱しており、不明瞭である。 また、これに伴う健康への影響が大きな懸念となっている。

アメリカ赤十字は日本から自主撤退をしているアメリカ軍人家族の支援もしている。 過去数週間において、東日本地域のアメリカ軍基地に駐在していたアメリカ赤十字とアメリカ軍人スタッフが、自主退去を希望するアメリカ軍人家族のサポートにあたった。 赤十字は、出国手続きやご案内、軍人の避難所運営などのサポートを行なった。

アメリカ赤十字は、アメリカ軍スタッフへ社員食堂スタッフの設置、渡航記録、軍の撤去要求の際の安全場所確認、航空機内へのご案内などあらゆる面でサポートを行なった。 アメリカ軍人家族がアメリカに着くとすぐに、赤十字のスタッフは食べ物、スナック、子どもへのおもちゃなどを提供した。

Red Cross CEO Sees American Donations Improving Conditions in Japan

ワシントン、2011年4月28日(木)

東日本大震災後6週間、アメリカから送られた義援金が状況改善と被災者の生活に有効に活用されていると、アメリカ赤十字の最高責任者であるゲイル・マックゴーバンは言う。

「わが国の寛大な心と実際に及ぼしている影響を実際にこの目で見ることができ大変光栄に思う。」 と日本訪問最終日に述べた。 「私たちが目撃した壊滅的なダメージにも関わらず、海の向こう側にいても日本に変化をもたらしている組織の一員であることをすばらしく思う。」

日本赤十字の招待によりマック・ゴーバン氏は4日間日本に滞在し、被災地を訪れ、被災者に会い、アメリカから送られた義援金がどのように使われ、今後どのように国の復興支援に使われるのかを視察した。 現時点でアメリカ赤十字は1億300万ドル($103 million)以上を日本赤十字と民間国際支援団体である人道支援団体に送った。

震災後数日以内には、アメリカ赤十字に集められた義援金は、日本赤十字の医療従事者で形成された約600チームいよる医療業務に加え、壊滅的なダメージを受けた沿岸地域に設置された2000以上の避難所のためにあてられた。

1ヶ月以内には、アメリカ赤十字の義援金は6つの家電用品を備え付けた約3000棟の仮設住宅一式の費用のためにあてられた。 日本政府は、今後数ヶ月以内に320スクエアフィート(29.76平方メートル)の仮設住宅を7万2000棟、学校の校庭を含む建設可能な土地に建設計画をしている。 赤十字は、ストーブ、冷蔵庫、洗濯機を含む日用家庭用品を各家に備え付ける計画をしており、これによって約28万人が通常の生活に戻れることになる。

4月25日までに、東日本大震災のために1億8700万ドルの義援金がアメリカ赤十字に寄せられた。 この内450万ドルはテキストメッセージによって集められたものである。 マック・ゴーバン氏の米国帰国後、アメリカ赤十字はマック・ゴーバン氏が直接目にした支援プログラムや復興支援プログラムにさらに義援金を送ることになった。 残りの義援金は取り決めが行われ、義援金が集められ次第日本に送られる。(以下略)

カリフォルニア西海岸は地震が起こりやすいといわれています。 事実 USGS (United States Geological Survey) によると、今後30年以内にベイエリアでマグニチュード6.7以上の大地震が62%の確率で起こるといわれています。 また東海岸ほどではありませんが、西海岸でも津波が起こるといわれています。

自然災害はいつ襲ってくるか予測不可能です。 私たちベイエリア赤十字は万が一に備え、地震被害を最小限にするための対策に力を注いでいます。 事前に、災害対策をしておくことで自分の家族の安全を確保し、周りの人を助けることができるのです。 明日の未来に備え、一人一人が地震対策について再度確認することが必要です。

地震が起こる前に確認しておくこと
  • 火災・地震時の際、普段使用している建物内の避難経路を把握する。
  • 自宅、職場、学校で安全回避できる場所を選び、家具の下に避難したり、屋内の壁にもたれかかる。
  • Drop (しゃがむ)、Cover (頭を守る)、Hold On (家具などにしがみついて待つ) の練習をする。
    もしもしがみつけるような家具がない場合は、壁ぎわに座りこみ頭と首を自分の腕で覆う。
  • 懐中電灯と丈夫な靴を各々のベッドのそばに備える。
  • 自分の家が安全な土台に固定されているか確かめる。
  • ウォーターヒーター、ガス機器、本棚、食器棚、その他の高い家具を壁に釘などで固定する。
  • 絵画や鏡などの重いものは壁にかけて、毎日頻繁に使用するベッドやソファーから離しておく。
  • 天井の電気機器は頑丈に固定しておく。
  • 棚は釘などで壁にとりつけておく。大きくて重いものは床に置いておく。
地震の際にすること
【屋内にいる場合】
  • Drop (しゃがむ)、Cover (頭を守る)、Hold On (家具などにしがみついて待つ) を実行する。できるだけ最小限に移動する。
  • もしベッドにいたら、ベッドから動かずにうずくまる。その際、枕で頭を覆う。
  • ガラスの破片で怪我をすることを避けるために窓から離れる。
  • 揺れがおさまるまで屋内にいる。屋外に出る際は、安全かどうか確かめる。その際は、エレベーターではなく階段を使用して屋外に出る。
  • 火災が起こってなくても、地震の最中に火災報知機やスプリンクラーが建物内で鳴ることが時々あるので気をつける。
【屋外にいる場合】
  • 建物、電線、木、街灯から離れた何もない場所を見つける。
    地面に身を伏せる。
    揺れが止まるまでその場にいる。
  • 車の中にいた場合、安全な場所まで行き、車をはじに寄せて停める。
    橋、高架橋、パイプラインをできるだけ避ける。
    揺れがおさまるまでシートベルトを固定し、車の中にいる。
    破損してそうな橋や傾斜路を避けながら、注意して運転する。
  • もし車に電線が落ちてきたら、外に出ずに、助けを待つ。
  • 山、不安定な坂やがけにいたら、岩や石の破片が落ちてこないか注意する。
    地震によって地滑りが引き起こされることがある。
地震後にすること
  • 余震、土砂崩れや津波に備える。
  • 余震を感じたときは Drop (しゃがむ)、Cover (頭を守る)、Hold On を実行する。
  • 破損で怪我をしないように長ズボン、長袖、頑丈な靴、軍手を着用する。
  • 自宅内や自宅周辺に損害がないか素早く確認し、もしも自宅が危険な状態の場合は、全員を外に出す。
  • 持ち運び可能な電池式または手動式ラジオで、最新の緊急情報や緊急指令を聞く。
  • 小さな火災がないか探して消す。火災は最もよくある二次災害だ。
  • 散らばった医薬品、漂白剤、ガソリン、そのほかの燃えやすい液体はすぐに除去する。
  • 中のものが移動して出てくるかもしれないので、クローゼットや整理棚のドアを気をつけて開ける。
  • 自宅から離れた場所にいた場合は、公共機関が安全だと言ったときのみ自宅に戻る。
記事担当 : 小柳彩 長谷川未季

2011年 5月 2日更新

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"Get Prepared"のセクションに行っていただくと、日本語のパンフレットなどがご覧いただけるようになっています。

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