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カイロプラクティックは面白い!

2015年 5月 28日更新

第36回 : 身体、精神の成長 - 小児崩壊性障害(Childhood Disintegrative Disorder)またはヘラー症候群(Heller's Syndrome)

小児崩壊性障害(Childhood Disintegrative Disorder)とは、自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder)のひとつですが、そのなかでも特徴的な症状を呈する珍しい障害です。ある年齢までは普通に成長・発達をするのですが、その後それまで習得してきたコミュニケーションや言語能力、社会性などを崩れるように失っていきます。

症状としては、下記のようなさまざまな機能を、成長をするとともに失くしていきます。具体的には以下の能力の2つ以上を失う事になります。

  • 言語

    話をしたり、他人とコミュニケーションをする事が出来なくなる。

  • 社会性

    他人、親、兄弟との関係を保つ事が出来ない。

  • 遊び

    ゲーム、遊戯、色々なアクティビティーへの関心を失う。

  • 運動機能

    劇的に運動機能が退化してしまい、歩いたり登ったり、物を掴む事が出来なくなる。

  • 膀胱、便のコントロールが出来ない

    トイレトレーニングが出来ていたのにも関わらず、その機能を失ってしまう。

もちろん成長のマイルストーンも達成出来なくなるほか、成長に遅れを見せるようになります。

特徴

この小児崩壊性障害の特徴は、3~4才まではまったく普通に成長して、成長のマイルストーンも問題なくクリアして来たにもかかわらず、急激にそれまで覚えたり発達してきた能力を失ってしまいます。発病は3才から4才で、平均3.9才、男の子が少し多く発病します。この障害はだいたい10万人に1.7人から2人くらいに起こると言われます。

病因

いまだはっきりとした病因は見つかっていませんが、多くの研究で、遺伝的な感度の高さ、異常な自己免疫機能、胎児の時に受けたストレスなどが絡み合って起こるのではないかという意見が多いようです。

環境要因、遺伝学的問題
  • ウイルス感染
  • 出生時のケガ
  • 毒物への露出
  • 未熟児
  • 奇形
  • 遺伝子の損傷
  • 自閉症の遺伝が家族にある
併発症
  • 自己免疫障害(Autoimmune Disorders)
  • アレルギー、消化器系の障害
  • 不眠症
  • ビタミンB12欠乏
影響を受ける機能

6つの重要な機能が特に影響を受けます。

  • 果的に自分の感情を表現してそれを言葉として表す
  • 話しかけられている時、それを聞き取り理解する
  • 社会性
  • 膀胱機能、排便機能をコントロールする
  • 運動能力
  • 遊ぶ事が出来る

症状としては

  • 話し言葉の著しい退化が見られる。典型的な話し言葉の症状として、2から3つの単語を使って話が出来ていたのにまったく話す事が出来なくなる。
  • 言葉以外のコミュニケ-ション能力の退化(例:ボディランゲージ)
  • 会話を続けることが出来ない。
  • 何かをして遊ぶ事が出来ない。
  • 排尿、排便がコントロール出来ない。
  • 運動能力の著しい退化が見られる。
  • 社会性を失ってしまう。
  • 友達と意思疎通が出来ない。
  • 症状の発生は緩慢な場合と突然起こる場合がある。
  • 以前は抱っこをされると喜んでいたのにそれを嫌がるようになる。
  • 幻覚を見ているような言動をする事がある。
自閉症との違い

自閉症と似た症状が少なくありません。小児崩壊性障害と自閉症を比較してみましょう。

  • 大きな違いは、自閉症の子達は成長障害の症状をを初めから表すのに対して、小児崩壊性障害の子供達は3~4才までの成長は問題なくその後に退化が始まる。
  • 小児崩壊性障害の子達は、反復持続症状が自閉症の子達よりも早い時期に始まる。
  • てんかん症状が自閉症の子達より頻繁に起こる。
  • 小児崩壊性障害の子達の方が激しい知能障害が見られる。
長期的な病状の変化

諸々の機能の退化は、大体10才くらいで小康状態を迎え、その後は急激な機能低下はなくなるようです。非常に稀に多少の進展もあることもありますが、ほとんどのケースはそのままの症状で小康状態を保ちます。

  • 長期的に見ると自閉症と似た症状が多く、特に認識力や振舞いの点で現れる。
  • 認識力は特に影響を受け、退化が激しくなる。
  • てんかん症などの併発症が多く発生する。
  • 長期的にはあまり良くはなく、ずっとサポートが必要になる。

小児崩壊性障害は重度の障害ですが、発生率としては稀です。治療法は自閉症と症状が似かよっているために自閉症のような治療をする事が多くなります。

2015年 5月 28日更新

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Columnist's Profile

Chiropractic Functional Neurologist
Hiro Sugawara D.C.Hiro Sugawara, D.C.

空手や棒術などの武道に打ち込む中、少林寺拳法の整体に興味を持ち、それがきっかけになりカイロプラクティックを知り渡米。1990年に Palmer - Westカイロプラクティック大学を卒業、学位を取得、92年 Sunnyvale に開業現在に至る。94年には、公認スポーツカイロプラクター資格を取得、95年より2000年母校 Palmer - West大学にて講師を務める。98年より Chiropractic Neurology の勉強を始め神経科カイロプラクティックの知識を深め、さらに、平衡感覚リハビリテーション講座、交通事故のスペシャリストとしての Auto Safety Trainer講座、機能神経科としての Developmental Disorder Specialty (発達障害児講座) 等数々の講座を終了。現在も Mountain View のシニアセンターやPHP (Parent Help Parent) にてセミナーを行いながら更なるカイロプラクティックの知識と技術向上に努めています。

Hiro Sugawara, D.C.

990 W Fremont Ave Ste M, Sunnyvale CA 94087

“Hiro Sugawara, D.C.”について詳しくはこちら。

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