コラム

カイロプラクティックは面白い!

2013年 5月 17日更新

第12回 : バランス感覚障害

バランス感覚障害とは、真っ直ぐ立っている、または座っているなど安定した状態にあるにもかかわらず、めまいがしたり、景色や自分が回ったり動いているような感覚がある事を言います。 バランス感覚障害は、ある種の病気、薬、内耳、脳の問題によって起こる可能性があります。

バランス感覚または平衡感覚は、ベスティビュラー・システム (Vestibular System) と呼ばれる内耳の感覚器と小脳によってコントロールされています。 バランス感覚によって、私たちは転んだりよろけたりせずに真っ直ぐ立てたり、歩いたり、走ったり出来るわけです。

またバランス感覚は、3つの感覚器から情報を受け取っており、その情報に基づいて脳が自分の体の位置を調整してバランスを取っています。

この3つの感覚器とは

1. 視覚からの情報
2. 筋肉・関節からの情報
3. 三半規管などのベスティビュラー・システム (Vestibular System) からの入力

バランス感覚を保つには、この3つのうち最低でも2つが正常に機能している必要があります。 例えば、シャワーで髪を洗っているときに目を閉じていても倒れません。 これは視覚がなくても他の2つのシステムが正常に機能しているからです。

視覚からの情報

視覚は、景色によって自分の空間でのポジション、またどの様に動いているかなどの情報を脳に伝え、バランスを正しく保つために働きます。

筋肉・関節からの情報

筋肉・関節のじん帯と腱の中にある固有感覚器官 (Proprioception) から送られる情報です。 筋肉内のマッスル・スピンドル (Muscle Spindle) と、腱の中のゴルジ・テンドン・オルガン (Golgi Tendon Organ) は、筋肉や腱の緊張時に刺激されると、脳に信号を送り、今の自分の体また体の部分の位置を正確に伝えます。 この器官のおかげで、たとえ暗闇のなかで目を瞑っていても自分の手足の位置が分かるのです。

特に重要なのは首からの情報で、今自分はどちらを向いているか、真っ直ぐなのかが意識しなくても分かります。 また足首からの刺激で、体の動きや傾きなどが地面との関連を無意識に感じ取る事が出来るので、自然に真っ直ぐに立てるのです。

三半規管などのベスティビュラー・システム (Vestibular System) からの入力

ベスティビュラー・システム (Vestibular System) は、三半規管、ユーテリクル、サキュールの3つの器官で成っています。

三半規管は、3つの輪がお互いに直角の平面に位置しています。 さらにこの中に感覚器のセンサーがあって、頭がどの平面に動いても、それぞれの平面をカバーしている輪の中のセンサーを刺激して脳に信号を送り、それによってどの方向に頭が動いたのかが感じられるのです。

これらの3つの器官から送られてくる信号を脳が受け取り分析することで、現時点の頭や体、手足などの位置を正確に把握しバランスを保っています。 また前述したように、これらのシステムのうち、2つ以上が正しく働いていないとバランスは保てません。

3つのシステムの不調和の例を挙げると、乗り物酔いが分かりやすいでしょう。 車に乗っているとき、視覚は“動いている”と脳に伝えているのですが、筋肉や関節は“静止している”と言う情報を脳に送ります。 この違いが脳の混乱を起こして気持ち悪くなるのです。

【バランス障害や平衡感覚障害の症状】
  • 部屋が回っているように感じる
  • 自分が回っているように感じる
  • めまいや立ちくらみを起こす
  • 倒れそうな感覚、または本当に転倒する
  • 頭がふわっとするような感覚がある
  • 目がかすむ
  • 混乱する
  • 吐き気、嘔吐
  • 下痢
  • 心拍数、血圧の変化
  • パニック、恐怖
  • 真っ直ぐ歩けない、角を曲がれない
  • 真っ直ぐな姿勢を保てなくなる
  • 下を見ないと歩きにくくなる
  • 立っているときに常に何かにつかまる必要がある (不安定感のため)
  • 歩いている地面や廊下などの変化に敏感になる
  • 不安定な姿勢によって、筋肉を異常に使うので筋肉痛になる
  • 目の焦点が合いづらくなったり、動いているものを目で追うときについていけない
  • 人ごみ、混雑した場所、店にいると不快感を覚える
  • 明るい光に敏感になる
  • 遠くのものを見るときに不快感を感じる
  • 暗いところを歩くときに障害を感じる
  • 遠近感覚が弱くなる
  • 聴力が落ちる
  • 耳鳴り
  • 大きな音に敏感になる
  • 突然の大きな音で、めまいが起こったりバランスを崩す
  • 集中力の低下
  • 忘れっぽくなる
  • 精神的、肉体的疲労が激しい
  • 自信喪失
  • うつ病のような症状が出る
【バランス障害の原因】
  • 耳のバクテリア感染症
  • 頭のケガ
  • 血液の循環障害により、脳や内耳に問題が出る
  • 低血圧
  • 関節炎
  • 視力障害
  • 目の筋肉の問題
【バランス障害のタイプ】
  • 良性発作性頭位めまい症 (Benign Paroxysmal Positional Vertigo)
  • 内耳炎 (Labyrinthitis)
  • メニエー病 (Meniere's Disease)
  • 平衡感覚神経炎 (Vestibular Neuritis)
  • 不安定 (Disequilibrium)
  • 頚椎性めまい (Cervicogenic Dizziness)
  • 起立性低血圧 (Orthostatic Hypotension)

今回は、バランス障害の概要をお伝えしましたが、次回は一般的に最も多い “めまい” について詳しくご紹介します。

2013年 5月 17日更新

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Columnist's Profile

Chiropractic Functional Neurologist
Hiro Sugawara D.C.Hiro Sugawara, D.C.

空手や棒術などの武道に打ち込む中、少林寺拳法の整体に興味を持ち、それがきっかけになりカイロプラクティックを知り渡米。1990年に Palmer - Westカイロプラクティック大学を卒業、学位を取得、92年 Sunnyvale に開業現在に至る。94年には、公認スポーツカイロプラクター資格を取得、95年より2000年母校 Palmer - West大学にて講師を務める。98年より Chiropractic Neurology の勉強を始め神経科カイロプラクティックの知識を深め、さらに、平衡感覚リハビリテーション講座、交通事故のスペシャリストとしての Auto Safety Trainer講座、機能神経科としての Developmental Disorder Specialty (発達障害児講座) 等数々の講座を終了。現在も Mountain View のシニアセンターやPHP (Parent Help Parent) にてセミナーを行いながら更なるカイロプラクティックの知識と技術向上に努めています。

Hiro Sugawara, D.C.

990 W Fremont Ave Ste M, Sunnyvale CA 94087

“Hiro Sugawara, D.C.”について詳しくはこちら。

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