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2015年 3月 31日更新

第34回 : 身体と精神の成長 - アスパーガー症(Asperger Syndrome)

アスパーガー症(Asperger Syndrome)は、自閉症スペクトラム障害(Autistic Spectrum Disorder)の一つで、複雑な脳神経の発達障害です。社会性の障害やコミュニケーション障害を繰り返し、型にはめたような振舞いに特徴されます。アスパーガー症は、この自閉症スペクトラム障害の中では軽度の障害になります、時には高機能の自閉症と言われることもあります。

アスパーガー症は、1944年にオーストリア人の小児科医Dr.Aspergerにより紹介されましたが、当時彼自身はアスパーガー症ではなく、自閉症的心理障害(Autistic Psychopathy)と呼んでいました。その後、1981年にイギリスの医師DR. Lorna Wingが同じような症状の子供たちを研究し発表した時、アスパーガー症と命名したと言われています。

アスパーガー症の一般的な症状・特徴
1. 社会生活とコミュニケーションに障害がある。
  1. アスパーガー症の子達は知能は高いのですが、言葉のやり取りをする会話が出来ません。
  2. ボディーランゲージ、アイコンタクト、顔の表情が欠損しているために、意思の疎通が出来なくなり友人関係を保てなくなります。
  3. 話し方が平坦になったり、あまり感情の感じられない話し方をします。
  4. 常識に対しての考え方が異常と言えます。
  5. 言語能力は平均以上なのですが、感情を表す非言語能力は平均以下です。
2. 異常なほど一つの事に自分の興味が集中する事と、その物事に異常に執着する。
  1. 同じ動作を繰り返す。また物や儀式的な習慣などにこだわり執着してしまいます。
  2. 環境の刺激、変化に対して過剰に反応をする傾向があります。
  3. 多くの子達が異常なほど、手や指などを使い繰り返す動きをします。
  4. 話が自分の周りだけで行なわれるため、他人との会話が出来ません。
3. 異常なほど物事に固執、または儀式的なことをするようになる。
  1. 個々に同じ事をする独特の儀式をするようになります。
  2. 例えば服を着るときに必ず同じステップで行ったり、食事をするときは皿の定位置や、箸、スプーンの並べ方から、さらには食べる順番も決まっているなどがあります。
4. 物事への興味が非常に狭くそれ以外には関心を示さない。
  1. 興味を持つ範囲が異常に狭く、それ以外のことは話もしません。
  2. 関心のある事に関しては非常に知識が豊富です。
5. 動きのコーディネーションが悪い。
  1. 動き方が不器用です。
6. ある一部の事に関して非常に才能がある。

アスパーガー症は、大体5歳から6歳位まで診断されないことが多いです。それは、言語の発達が正常なので、話していてあまり異常と感じられないためです。推測では88人に1人の8才児が、アスパーガー症と言われています。

年代別アスパーガー症の症状
○子供期(幼稚園~小学校)
  • 他の子供たちのボディーランゲージや感情の動きが読めないなど、人間関係に必要な手掛かりが理解出来ない。
  • 日常生活上での変化が嫌いで、いつも同じ事をしたい。
  • 感情移入の欠損がみられる。
  • 会話をしていても、相手の声の調子、声色の変化、感情の変化に無頓着である。故に、冗談を言われても本気に取ってしまう。
  • アスパーガー症の子達の話し声は抑揚がなく平坦に話す。
  • 話す時に年齢不相応に丁寧すぎる話し方をする。
  • よく話す。しかし自分の興味のある事しか話さないので、会話が一方的になる。
  • 自分の考えている事をすぐ口にする。
  • アイコンタクトを避ける。
  • 異常な顔の表現をする事が多い。
  • 姿勢がおかしい。
  • 常に一つか二つの自分の興味がある事に囚われており、その事に関しては博学である。
  • 運動機能の発達が少し遅い。
  • ナイフやフォークの使い方、自転車に乗る事が下手である。
  • 字を書く事が下手である。
  • 歩き方も少しギクシャクする。
  • 感覚器がとても敏感なので、大きな音、雑音、光、匂いに過剰に反応する。
○ティーンエージャー(思春期)
  • 人との付き合い方を学ぶようになるが、社会性、コミュニケーション能力が低いのでやはり人付き合いはあまりうまくない。
  • 他人の感情を読み取る事は苦手である。
  • 友達を作りたいと思うものの、人に近づいたり、話す事に恐れがある。
  • 皆と同じように振舞う事が負担になり疲労してしまう。
  • 上記のような事を繰り返すあまり、徐々に孤立したり、引きこもってしまう。
○成人期
  • 人付き合いは時間が経つにつれ、少しうまく出来るようになる。
  • 社会性も学んで、人の感情変化も少し理解できるようになる。
  • 集中力もあり、細部を学ぶ事が好きなので、学業や、自分に合った仕事に就いた場合は成功する。
  • ハイテクやエンジニアなどに興味を示す事が多い。
アスパーガー症と自閉症の違い
  • 自閉症の子達は言語の成長に遅れがあり、話し始めるのも遅くなります。
  • しかしアスパーガー症の子は言語発達の遅れはありません。
  • アスパーガー症の子の知能は平均以上です。
アスパーガー症の独特な才能
  • 自閉症と同じように、右脳の問題によりアスパーガー症は起きます。つまり左脳の機能は優れているので、特徴として集中力があり非常に細かいところまで気がつくと言う事になります。
  • 一つの物事に入り込むので、興味のあることにはずっと興味を持ち続けることが出来ます。人の意見に左右されずにその興味を持ち続けることが特徴です。
  • 独立して働く事が苦になりません。
  • 考えが独創的なので、職業も適した仕事に就いたときには、非常にいい方向に働きます。

先述の通り、アスパーガー症である故に起こる問題も多いのですが、いい特徴もあるわけです。小さいときに兆候があり、それを見過ごさずに適切な治療を行い問題を軽減させる事が出来れば、成長した時に負担が軽くなる事も確かです。気になる症状がありましたら、早急に機能神経科カイロプラクターに相談してください。

2015年 3月 31日更新

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Columnist's Profile

Chiropractic Functional Neurologist
Hiro Sugawara D.C.Hiro Sugawara, D.C.

空手や棒術などの武道に打ち込む中、少林寺拳法の整体に興味を持ち、それがきっかけになりカイロプラクティックを知り渡米。1990年に Palmer - Westカイロプラクティック大学を卒業、学位を取得、92年 Sunnyvale に開業現在に至る。94年には、公認スポーツカイロプラクター資格を取得、95年より2000年母校 Palmer - West大学にて講師を務める。98年より Chiropractic Neurology の勉強を始め神経科カイロプラクティックの知識を深め、さらに、平衡感覚リハビリテーション講座、交通事故のスペシャリストとしての Auto Safety Trainer講座、機能神経科としての Developmental Disorder Specialty (発達障害児講座) 等数々の講座を終了。現在も Mountain View のシニアセンターやPHP (Parent Help Parent) にてセミナーを行いながら更なるカイロプラクティックの知識と技術向上に努めています。

Hiro Sugawara, D.C.

990 W Fremont Ave Ste M, Sunnyvale CA 94087

“Hiro Sugawara, D.C.”について詳しくはこちら。

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