インターナショナル ライフサイクル ファミリーセラピー International Lifecycle Family Therapy Inc. info@internationallifecycle.com

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第40回 : update
2024年を終える前に。やり残したことは、心の中で「完了」すればそれでOK

バックナンバー

第1回 : 
自分軸で生きよう!あなたに関わる大切なポイントを知る
第2回 : 
自分の心を知る。気持ち・感情・思考の観察のチェックポイント
第3回 : 
「怒り」や「悲しみ」を無視しない ネガティブな感情って何?
第4回 : 
ネガティブな感情をどう扱うか。健康的に手放す3つの方法とは?
第5回 : 
被害者意識の人間関係って?その1
第6回 : 
被害者意識の人間関係って?その2
第7回 : 
~あなたはどんな「メンタルの選択」をしていますか?
第8回 : 
メンタルヘルスにおいて重要な「自分との約束」
第9回 : 
心を掘り下げ新しい道筋を作る「根治療法」
第10回 : 
「顕在意識」と「潜在意識」
第11回 : 
「心」と「体」のお話
第12回 : 
癒やしにつながる脳と神経のお話
第13回 : 
「うつ」と「不安」の原因 ~外的要因について~
第14回 : 
「うつ」と「不安」の原因 ~内的要因について~
第15回 : 
トラウマについて
第16回 : 
トラウマの治療
第17回 : 
2023年はメンタルケアから。良好なメンタルヘルスを維持するポイント
第18回 : 
依存症とは① ~脳と依存の関係~
第19回 : 
依存症とは② ~タバコから処方箋まで。薬物依存~
第20回 : 
依存症とは③ ~コントロール不能で依存に。インターネットから恋愛まで~
第21回 : 
依存症とは④ 治療法「セルフケア」
第22回 : 
依存症とは⑤ 治療法「ソーシャルサポート」
第23回 : 
マインドセットが全て ~人生を変えたいアナタへ~(1)
第24回 : 
マインドセットが全て ~人生を変えたいアナタへ~(2)「マインドセットを変える方法10 前編」
第25回 : 
マインドセットが全て ~人生を変えたいアナタへ~(3)「マインドセットを変える方法10 後編」
第26回 : 
マインドセットが全て ~人生を変えたいアナタへ~(4)最終回「マインドセットと生きる意味について」
第27回 : 
子育てに悩んでいるアナタへ① ~子どもの発達を知る
第28回 : 
子育てに悩んでいるアナタへ② ~効果的なコミュニケーションとは
第29回 : 
心理セラピストが回答!「子育てQ&A」~子どもとうまくコミュニケーションを取るには~
第30回 : 
心理セラピストが回答!「子育てQ&A」~子どものトラブル。お母さんが過剰に反応していませんか?~
第31回 : 
心理セラピストが回答!「子育てQ&A」~子どもが勉強しない!どうすればいいの?
第32回 : 
心理セラピストが回答!「子育てQ&A」~お父さんとお母さんの意見の相違が、子どもを苦しめる
第33回 : 
心理セラピストが回答!「働きざかりの男性の不安障害」自分の心に向き合う。セラピーも検討を
第34回 : 
心理セラピストが回答!「カップルカウンセリングとは」夫婦で問題に向き合う機会を設ける
第35回 : 
憧れから落胆へ?国際結婚の問題点とは ①
第36回 : 
国際結婚における「コミュニケーション」の問題 ②
第37回 : 
自分の「当たり前」を見直す。異文化間コミュニケーションで起こる誤解とは
第38回 : 
リスクがあってもやめられない。SNSとメンタルの関係
第39回 : 
楽しい季節がうつを助長する!? 「ホリデーブルー」とは
第40回 : 
2024年を終える前に。やり残したことは、心の中で「完了」すればそれでOK

心のケアと癒しに役立つ臨床心理のここだけのお話

心理カウンセリングやセラピーをしている中で、心の悩み、成長、癒しに関するいろんなトピックが出てきます。このコラムの中でその事をより多くの方にシェアして、皆様のお役に立てれればと思っております。

2022年12月 28日更新

第16回 : トラウマの治療

前回のコラム「トラウマについて」で、トラウマのメカニズムなどをご説明いたしました。今回は治療法についてです。

サポートを受けるタイミングとは

トラウマ(心的外傷)は「心が受けた傷」のことです。事故やイジメなど、程度にかかわらずその経験が脳にトラウマとして刷り込まれると、その後の生活に支障をきたしてしまうケースも少なくありません。日常的につらい記憶がよみがえると、PTSD(心的外傷後ストレス障害)になることもあります。脳に刷り込まれたその時の映像や体験が、その後何かのきっかけで瞬間的に再体験してしまうのです。PTSDが長く続くと「うつ」が発症しまう人もいます。

生来、人間には何かトラブルが起こってもそれに抵抗できる精神力が備わっています。一度や二度の経験なら、多少時間がかかっても乗り越えることができるのですが、何度も体験すると諦めや無力感を感じるようになります。こうなると自分の意思だけではどうにもならないことが多く、周囲の助けや、場合によっては専門家に相談した方がよいケースもあります。

特に、自分を責める傾向がある人は、脳の中でトラウマが書き換えられてしまうこともあります。例えば、交通事故のトラウマがある人が「なぜ、あの日に限って車に乗ってしまったのか」「なぜ、あの道を選んでしまったのか」など、起こった出来事に対して“自分が悪い”という風に考えてしまうと、トラウマはひどくなってしまいます。こういった場合も専門家のサポートが必要になります。

トラウマ治療について

手をカッターなどで切ってしまった場合、絆創膏を貼ったり病院に行ったりして治療をします。ケガの度合いに応じて数日で傷が跡形もなく消えることもあれば、少し傷が残ることもあるでしょう。同じように、トラウマも目には見えなくても心に傷が付き、程度によっては傷が自然に消えたり薄くなったりすることはありません。

治療を受けてもトラウマの記憶そのものを完全に消すことは難しいのですが、そこに付随している恐怖や不安などネガティブな感情を削り取ることは可能です。

専門家による治療法

基本的に全ての治療において重要な鍵となるのが「リソース」です。リソースとは自分の中にある“資源”のことで、自信を芽吹かせる種のようなものです。種には、もともとその人が持っている強さや、指針、成熟度などのほか、好きな場所、信頼できる人などがあります)。どの治療法でも「安心」や「安全」を自分の中で作るために用いられる、最初の重要なステップです。

トラウマの治療は、記憶と共にあるネガティブな感情を手放すことがポイントです。以下に、心理療法士や精神科医などの専門家によるトラウマ治療法の一部をご紹介します。

認知行動療法

認知とは、簡単に言うと「思考」のことで、人間は物事や体験をどう認知するかによって、それに応じた感情や体の反応が起こったり、行動を取ったりします。しかし、認知はトラウマによって歪んでしまうことがあります。自分の考えていることは本当に事実であるか、もし事実でないとしたらどこがどれだけ違っているか、をしっかりと識別していくのが「認知行動治療法」です。

EMDR

EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing)は「眼球運動による脱感作と再処理療法」と呼ばれ、1980年代にフランシーン・シャピロによって提唱された心理療法です。文字通り、眼球運動によって脳を刺激し情報処理プロセスを活性化していきます。科学的な根拠はないものの、トラウマの治療に非常に効果があると言われています。

ヒプノセラピー

ヒプノセラピー(催眠療法)で潜在意識の中に入り、トラウマとなった体験を書き換えていきます。セラピーで理論的に話を進めることもできるのですが、そこで問題になるのは潜在意識です。この潜在意識は感情や体とつながっていることが多いので、このプロセスがとても大切です。具体的に言うと、より深い潜在意識に入って「自分は大丈夫」「私はとても安心している」といった新しい意識を付けていくため、特にリソースが重要になります。

フラッティング法

フラッティング法(Flooding)とは、トラウマで起こる恐れや恐怖に立ち向かうやり方です。例えば、交通事故現場となった道が怖くて通れないという場合、実際にその現場を訪れ自分の気持ちと向き合います。サポートしてくれる人と行ったり自分の中でリソースを付けてから行くと、うまく切り替えができることが多いです。

今回は、トラウマ治療の一部をご紹介しました。前述のようにどの治療においても最も重要なことは、患者さんに「安心」や「安全」を感じられる場を作ることです。専門家を探す際は、自分が心から安心し、心身共に安全な環境で治療を受けられるかどうかを目安にするとよいかもしれません。

今年もご愛読いただきありがとうございました。
2023年もどうぞよろしくお願いいたします。

2022年12月 28日更新

皆さんのご意見、ご相談等ございましたら以下までご連絡ください。

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Columnist's Profile

インターナショナル ライフサイクル ファミリーセラピー(International Lifecycle Family Therapy Inc.)

CA州心理士免許(LMFT)と博士号を持つ経験豊かな2人のセラピストによる心理カウンセリングオフィス。多くの方々のより良い心の健康を目指し、個人、カップル、家族の心理セラピー/カウンセリングを日本語および英語で提供している。仁科盛次郎(心理療法士、LMFT#50945)および菱谷有希子(心理療法士、LMFT#53262)はCA州公認のマリッジファミリーセラピストで、専門は家族・カップル間のコミュニケーション、異文化や多文化における問題、思春期における心理やアイデンティティ問題、薬物依存治療など。多種多様な家族療法を取り入れたアプローチや、物の見方を変え解決方法の発見へと導くアプローチ、催眠療法などの潜在意識セラピーを提供。また、両者ともに移民難民、性犯罪にかかわる青少年更生、薬物リハビリテーション施設での経験を持つ。大学院講師としての活動及び後輩育成にも精力的に取り組んでいる。Youtube「カリフォルニアから心の癒しチャンネル」にて心にまつわるビデオ公開中。

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