インターナショナル ライフサイクル ファミリーセラピー International Lifecycle Family Therapy Inc. info@internationallifecycle.com

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第31回 : 
心理セラピストが回答!「子育てQ&A」~子どもが勉強しない!どうすればいいの?①~

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第1回 : 
自分軸で生きよう!あなたに関わる大切なポイントを知る
第2回 : 
自分の心を知る。気持ち・感情・思考の観察のチェックポイント
第3回 : 
「怒り」や「悲しみ」を無視しない ネガティブな感情って何?
第4回 : 
ネガティブな感情をどう扱うか。健康的に手放す3つの方法とは?
第5回 : 
被害者意識の人間関係って?その1
第6回 : 
被害者意識の人間関係って?その2
第7回 : 
~あなたはどんな「メンタルの選択」をしていますか?
第8回 : 
メンタルヘルスにおいて重要な「自分との約束」
第9回 : 
心を掘り下げ新しい道筋を作る「根治療法」
第10回 : 
「顕在意識」と「潜在意識」
第11回 : 
「心」と「体」のお話
第12回 : 
癒やしにつながる脳と神経のお話
第13回 : 
「うつ」と「不安」の原因 ~外的要因について~
第14回 : 
「うつ」と「不安」の原因 ~内的要因について~
第15回 : 
トラウマについて
第16回 : 
トラウマの治療
第17回 : 
2023年はメンタルケアから。良好なメンタルヘルスを維持するポイント
第18回 : 
依存症とは① ~脳と依存の関係~
第19回 : 
依存症とは② ~タバコから処方箋まで。薬物依存~
第20回 : 
依存症とは③ ~コントロール不能で依存に。インターネットから恋愛まで~
第21回 : 
依存症とは④ 治療法「セルフケア」
第22回 : 
依存症とは⑤ 治療法「ソーシャルサポート」
第23回 : 
マインドセットが全て ~人生を変えたいアナタへ~(1)
第24回 : 
マインドセットが全て ~人生を変えたいアナタへ~(2)「マインドセットを変える方法10 前編」
第25回 : 
マインドセットが全て ~人生を変えたいアナタへ~(3)「マインドセットを変える方法10 後編」
第26回 : 
マインドセットが全て ~人生を変えたいアナタへ~(4)最終回「マインドセットと生きる意味について」
第27回 : 
子育てに悩んでいるアナタへ① ~子どもの発達を知る
第28回 : 
子育てに悩んでいるアナタへ② ~効果的なコミュニケーションとは
第29回 : 
心理セラピストが回答!「子育てQ&A」~子どもとうまくコミュニケーションを取るには~
第30回 : 
心理セラピストが回答!「子育てQ&A」~子どものトラブル。お母さんが過剰に反応していませんか?~
第31回 : 
心理セラピストが回答!「子育てQ&A」~子どもが勉強しない!どうすればいいの?①~

心のケアと癒しに役立つ臨床心理のここだけのお話

心理カウンセリングやセラピーをしている中で、心の悩み、成長、癒しに関するいろんなトピックが出てきます。このコラムの中でその事をより多くの方にシェアして、皆様のお役に立てれればと思っております。

2022年 7月 27日更新

第11回 : 「心」と「体」のお話

知ってるようで知らない「心」と「体」の関係

前回は「顕在意識」と「潜在意識」についてご説明しました。私がクライアントさんに心理セラピーを行う際、まずお聞きするのは「今どんな気持ちを抱えているのか」ということです。つらい、悲しい、不安といった負の感情は、人間の潜在意識の入口で、メンタルヘルス治療においてとても大切です。

心の状態を把握したら、次にお聞きするのは体の状態です。心の反応は体にも表れるのですが、意外にも人間は不安な気持ちにはフォーカスしても、体がどんな反応をしているか知らないことが多いのです。体はいろんなメッセージを送ってくれています。例えば、不安のあまり「手が汗ばんでくる」「胸がしめつけられる」「胃がしくしくする」など、抱えている感情と体は驚くほど連動しているのです。

ここで、人間の脳について少しご説明します。「手が汗ばんでくる」といった体の反応の指令はどこから来るのでしょうか。これはズバリ、脳からなのです。脳の真ん中にある大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)があり、ここが、人間の喜怒哀楽の感情をはじめ、記憶や自律神経活動(扁桃体、海馬、視床下部などを通して)に関与しています。最終的に体の反応を起こす始まりがこの大脳辺縁系です。

戦うか、逃げるか、固まるか

危機的な状況において人は「逃げる(Flight)」または「戦う(Fight)」という反応をします。これらに加え、脳の進化と共に「固まる(Freeze)」という反応も出てきました。逃げるまたは戦うではなく、脳を固める、つまり遮断して諦めるという判断になります。脳がメンタルを守るために機能を遮断し、ときにはその記憶がなくなってしまうこともあります。これは、その時起こっている出来事が、自分の脳で理解できる、処理できる範疇(はんちゅう)を超えてしまっている時に起きて、これが俗に言うトラウマ体験の一部になります。

「固まる」反応の例を挙げると、親から虐待を受けた子どもが、最初は逃げようと試みますが、それができず、さらに力でも叶わない、戦えないと脳が感じると遮断するのです。体もそれに合わせて反応し痛みを感じなくなることさえあります。そして、厄介なことに脳がその状態に慣れてしまうと、その後同じような体験をするとすぐその状態になってしまうこともあります。

記憶と反応の関係性

そして、心と体のつながりは、記憶とも深い関係があります。例えば、あなたがどこかのレストランに行った時に注文した料理を食べた時、なぜかうれしい、懐かしいといったポジティブな感情が湧いたとします。その時体の力も抜けゆったりとリラックスしているはずです。実はその料理はあなたの大好きなお母さんの味付けに似ており、そのせいで過去のうれしい記憶がよみがえってきたのです。実はこれが潜在意識です。潜在意識は隠された記憶で、普段は表面に出てきません。しかし、これがとても重要で人の体の反応にかかわってくるのです。

記憶と関連する体の反応には、前出のようなポジティブなものもあれば、特定のにおいをかいだ時に血の気が引くといったネガティブなものもあります。五感による体の記憶なのですが、自分では気付いていないことが多いのです。

脳に新しい回路を作る治療法

脳の機能にまで話が及びましたが、要するに不安などの感情を感じた時は、自分の体がどうなっているのかを知ることが大切なのです。セラピーなどの治療を行う際も、このようなネガティブな体の反応を意識的に見ていきます。

治療においては「体が覚えていることを、体を使って出す」ことが重要となります。例えば、親に殴られた記憶がよみがえると体がガチガチに固まってしまう人の場合、いったんその状態に戻り、そこで指先を少し動かしてみる、その場から逃げる、盾を使って防ぐなど、過去とは違う反応を意識的に行うようにします。昔の体の反応から新しい反応に変える、つまり嫌な記憶を上書きして新しい回路を作るのです。

体の反応は自分では気付かない潜在意識がかかわっているので、つらいときは一人で苦しまずに、心理カウンセリングやセラピーを受けてみるとよいでしょう。

2022年 7月 27日更新

皆さんのご意見、ご相談等ございましたら以下までご連絡ください。

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Columnist's Profile

インターナショナル ライフサイクル ファミリーセラピー(International Lifecycle Family Therapy Inc.)

CA州心理士免許(LMFT)と博士号を持つ経験豊かな2人のセラピストによる心理カウンセリングオフィス。多くの方々のより良い心の健康を目指し、個人、カップル、家族の心理セラピー/カウンセリングを日本語および英語で提供している。仁科盛次郎(心理療法士、LMFT#50945)および菱谷有希子(心理療法士、LMFT#53262)はCA州公認のマリッジファミリーセラピストで、専門は家族・カップル間のコミュニケーション、異文化や多文化における問題、思春期における心理やアイデンティティ問題、薬物依存治療など。多種多様な家族療法を取り入れたアプローチや、物の見方を変え解決方法の発見へと導くアプローチ、催眠療法などの潜在意識セラピーを提供。また、両者ともに移民難民、性犯罪にかかわる青少年更生、薬物リハビリテーション施設での経験を持つ。大学院講師としての活動及び後輩育成にも精力的に取り組んでいる。Youtube「カリフォルニアから心の癒しチャンネル」にて心にまつわるビデオ公開中。

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