びびなび : サンフランシスコ : (アメリカ合衆国) San Francisco

「お相手に求める条件は何ですか？」これは婚活において必ず聞かれる質問です。優しい人、素直な人、前向きな人、話を聞いてくれる人など、性格についてはこのような例がよく挙げられますが、時に「このままの私／僕を受け入れてくれる人」とおっしゃる方がいらっしゃいます。「このままの私」というのは、「ありのままの私」に言い換えることもできますが、それはどの点においての「このままの私」を受け入れて欲しいとお考えなのでしょうか。性格だけのことでしょうか。それとも容姿、服装、髪型、趣味嗜好、ライフスタイルにいたるまで全てでしょうか。

多くの会員の方のお手伝いをさせていただいていると、時々「とてももったいない」「残念だ」と私たちが感じてしまう方々がいらっしゃいます。ご性格はとてもいいんです。しっかりとしたお仕事もされていて、年収も高いんです。ご自身の年齢も求めるお相手の年齢も問題ありません。ただ、「このままの私／僕を受け入れてくれる人がいい」とおっしゃるのです。それは、内面だけではなく、服装から容姿、全てにおいてです。男性の場合、いかにもお勉強ができそうに見える眼鏡と学生から変わっていないのであろう学生カットのヘア、普段から着ていると思われるちょっとよれたポロシャツ。スタイルが良いのに姿勢悪く座って硬い表情でポージング。女性でもいらっしゃいます。ご自身の好みで選んだこだわりの柄のトップと柄のボトム。せっかくのドレスだけれど、その方の体型には似合わないドレス。おしゃれをしたのに、ガニ股でポージング。写真をEdit（編集）してSNSに載せるのが当たり前になっている時代であるにもかかわらず、このような方々がいらっしゃいます。そして「このままの私を受け入れてくれる人」探しを私たちマッチメーカーに託し、他力本願で理想のパートナーが現れるのを待つのです。

結婚相談所や、いわゆる婚活アプリにご自身を登録するということは、希望のお相手を探すのと同時に、婚活市場にご自身を出し、売れるかどうか見定めるということでもあります。これを別の例で挙げると、ご自身の愛車もしくはご自宅を売りに出すことに似ています。では、その時に洗車もせず、オイルは古く汚れたままで、車内の掃除もせずに売りに出すでしょうか。車のモデルや年式は変えることができませんが、できる限りきれいにして少しでも高く売ろうと努力されるはずです。家を売る場合もしかり。塗装を新しくしたり水回りを修繕したり、少しでも良い買い手が見つかることを願って手を加えるはずです。そして婚活なら、女性はヘアサロンに行き、メイクを入念にし、服装もできるだけ好印象を持たれるものを選び、写真はプロにお願いする。男性も髪やひげを整え、やはり女性受けの良い清潔感のある服装を選んでお見合いに臨む。それは最低限必要な努力だと、私たちマッチメーカーは考えます。

何百人、何千人、もしくは何万人という人が登録しているマッチングアプリや結婚相談所のネットワークを使って良いお相手に巡り合って成婚まで至るには、まず最初のデート（お見合い）にたどり着かなければなりません。多くの方にとって、それが難関である場合があります。それは、写真から与える印象を最大限に良くする努力を怠っている、もしくは写真で与える印象を軽んじているからです。（ここで注意していただきたいのは、ご自身の印象が別人レベルに変わらない範囲内の最大限がポイントです。これまでにも何度かご説明致しましたが「会うなら盛るな、盛るなら会うな」を忘れずに！）。

もちろん、写真でその人の全てが分かるわけではありません。しかし、写真は婚活のスタートラインに立つ、相撲で言えば土俵に上がることができるかどうかの判断材料の大部分を占めます。性格の良さ、考え方の柔軟さ、包容力などは、実際にお会いになってお話をすることができた時点で高く評価されるものです。けれど、どんなに優しい方であっても、まずは土俵に上がらなければ、何も始まりません。

「自分を偽ってまで、そんな土俵に上がりたくない」とお思いになりますか。では、あなたが片付けが苦手で、いつもは散らかった部屋で生活をしているとしましょう。そんなお部屋に大事なお客さまをお迎えしますか？お客さまが快適に、せめて不快に感じられない程度には片付けをするのが礼儀でしょう。それと同じように、初めて写真を見て検討してくださる方に、好意的に受け入れてもらえるための写真を用意するのです。それが大人としての礼儀であって、自分を偽っていることではないと思います。そしてそれは、初めてお相手にお会いになる時も同じです。爽やかに清潔感の漂う装いで、お相手に心地良さと安心感を与えて差し上げて欲しいのです。そうすると、あなたの内面の良さもどんどんお相手に伝わるようになります。

お相手のお顔立ちがどうしても生理的に好みでないというのは、もはやどうすることもできない理由の一つです。これは、スポーツカーが欲しい方にワゴン車を売ることが不可能なのと同じです。しかし、少しの手間と、ヘアリストやスタイリストなどの助けで良くなる努力をあえてしないのは、勉強もしないでテストに臨むようなもの。結果は良くないに決まっています。

では、婚活において「このままの私」「ありのままの僕」でいても成功するのは、どの部分でしょうか。それは、あなたの内面や価値観、趣味嗜好、そしてあなた自身が誇れることなどだと考えます。しかしここで大事なのは、お相手に「ありのままの自分を受け入れて」とお願いする姿勢ではいけないということです。お相手との会話を重ねる中で「この人とだったら自分は自分らしくいられるだろうか」「なりたい自分になれる（自分でいられる）だろうか」というように、押しつけではなくご自身で判断してみてください。なぜなら、お相手にも自然体でいてもらえる結婚生活が理想だからです。お相手にも、この人ならありのままの自分でいられると判断してもらえるよう、お互いをよく理解し尊重しあうことが大切です。ご自身の価値観を押し付けたり、ご自身の理想の結婚観にお相手が合わせたりしなければいけないような関係は、将来お２人が破局してしまうリスクを伴います。結婚するために、時には変えなければならない、もしくは変わらなければならないことも出てくるでしょう。それは住む場所であったり、働き方であったりするかもしれません。でもそれでもあなたがあなたらしくいられるのであれば、それは価値のある変化と考えて良いと思います。

まずは、ありのままの自分でいられるお相手に巡り合う、土俵に上がるための努力をしましょう。「これ以上どうすればいいの？」と思われるのであれば、マッチメーカーなどのプロに相談してみてください。きっとスタートラインに立てるはずです。