Column

カイロプラクティックは面白い!

Updated on 2016/ 8/ 31

Vol.50 : 味覚や聴力障害も引き起こす「顔面麻痺」

~脳神経:第7番 顔面神経(Facial Nerve)~

顔面神経は、脳幹の真ん中にあるポンズ(Pons)にある顔面神経中枢から始まり、頭蓋骨を抜け、顔に達して運動機能と知覚機能をコントロールしています。

顔面神経には、それぞれ2種類の運動機能と知覚機能があり、それぞれ役割を分担しています。

運動機能の一つは、顔の表情をコントロールする筋肉を全て支配しています。プラス中耳の鼓膜と神経を結ぶとても小さな骨に繋がる筋肉をコントロールしています。この筋肉には、とても大事な役割がありますが、それは後ほど詳しくお話いたします。

もう一つの運動機能は、副交感神経を涙腺、唾液腺、鼻腔の粘膜に送り、この唾液、涙、粘液の分泌が適正になるようにコントロールしています。

知覚機能は、舌の前3分の2部分の味覚を感じ取り、脳へその情報を送ること、そして口の中の天井部分とその後ろ部分の一般感覚を支配しています。もう一つは、鼻の中、耳の穴の一部、耳の後ろの皮膚感覚を感じ取ります。

顔面表情筋肉のコントロールは少しややこしく、額の部分は両方からの大脳のコントロールを受けていますが、顔の下半分は片側の大脳のみのコントロールです。一つは、中枢神経(Upper Motor Neuron)も一つは末梢神経(Lower Motor Neuron)ですので、でこれらの障害はそれぞれ違う症状を起こします。

中枢神経の障害の場合、これは顔面中枢神経よりもうに近い場所にて問題が起きた時ですが、症状としては顔面表情筋の麻痺は反対側の目から下の筋肉のみとなります。末梢神経の障害は、問題の部分が顔面神経中枢の後にあり、この場合は障害のある神経の同じ側の顔半分の顔面表情筋画全て麻痺してしまいます。

顔面神経に問題が生じた時、顔面表情筋二麻痺が起きることになります。この状態をベルズ麻痺(Bell’s Palsy)と言います。

(Fig.1) 顔面神経のコースです。枝分かれして顔のあちこちの筋肉や分泌腺に到達してコントロールします。
画像出典: Cranial nerve Illustrated Facial Nerv

ベルズ麻痺の症状

  • 急性の顔面表情筋の麻痺、または顔半分の筋肉が全て麻痺する。
  • 約半分ほどの場合、痺れ感覚が耳、顔、首、舌にまで出る。
  • 多くの場合、ウイルスによる感染症をベルズ麻痺(Bell’s Palsy)の前にかかっている。
  • 家族にベルズ麻痺(Bell’s Palsy)の経験者がいる。
  • 大多数は顔面表情筋の麻痺は顔半分のみ、顔全体の麻痺は非常に少ない。
  • 聴力の変化がある、音に対して敏感になる。

(Fig.2) ベルス麻痺(Bell’s Palsy)の症状です。
画像出典: Cranial Nerve #7: Facial Nerve 12 Cranial Nerves

ベルズ麻痺の原因

  • ヴィールスの感染症
  • ヴィールスが神経の中に住み着いてしまい、それが後に活性化して神経の損傷を起こす。
  • ヴィールスが神経自体を覆っているマイアリン(Myelin)と言う組織を損傷し炎症状態を起こし神経の活動を阻害する。

顔面神経は涙、唾液の分泌をコントロールしていますので、もし神経に障害が起きた時これらの分泌がうまくできなくなるので、ドライマウス、ドライアイを起こす可能性があります。

さらに、中耳の中に鼓膜から内耳に音を伝えるためのとても小さな骨が3つあり、その骨に顔面神経のコントロールする筋肉が付いています。この筋肉は、大きな音が内耳に伝わり神経器官を痛めないためのボリュームコントロールの役割をしています。皆さんも、この効果は経験したことがありと思います。大きな音楽がかかっていたり、騒音が酷い場所や部屋に入ってしばらくすると、耳が慣れてそんなに煩わしいと感じなくなってしまうことがありませんか。反対に顔面神経がうまく働くなると、なんでもない音が煩く感じるということが起きるのです。

もう一つ、顔面神経がコントロールする知覚機能のなかで、大事なことは味覚です。3分の2は顔面神経の役割なので、もし麻痺が起こると、味覚もかなり鈍くなってしまいます。

(Fig.3) 顔面神経の運動機能や表情筋の支配はこうなります。前から見た図です。
画像出典: Cranial Nerve #7: Facial Nerve 12 Cranial Nerves

(Fig.4) 中枢神経の問題が起きるとこのような症状になります。
画像出典: Facial Nerve Cranial Nerve Illustrated

(Fig.5) 末梢神経の問題はこのような症状になります。
画像出典: Facial Nerve Cranial Nerve Illustrated

カイロプラクティック治療の効果

顔面神経障害は、症状や原因によりますが、さまざまな治療方法があります。カイロプラクティックでは、顔面神経の機能障害が出た場合、顔面神経にとても近い関係がある他の脳神経を刺激することで、顔面神経の活性化を図り、上記のような症状の緩和するようにしていきます。つまり神経の活性化により機能回復を目指すのです。ぜひ1つの治療の選択肢として、心に留めておいてください。

Updated on 2016/ 8/ 31

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Columnist's Profile

Chiropractic Functional Neurologist
Hiro Sugawara D.C.Hiro Sugawara, D.C.

空手や棒術などの武道に打ち込む中、少林寺拳法の整体に興味を持ち、それがきっかけになりカイロプラクティックを知り渡米。1990年に Palmer - Westカイロプラクティック大学を卒業、学位を取得、92年 Sunnyvale に開業現在に至る。94年には、公認スポーツカイロプラクター資格を取得、95年より2000年母校 Palmer - West大学にて講師を務める。98年より Chiropractic Neurology の勉強を始め神経科カイロプラクティックの知識を深め、さらに、平衡感覚リハビリテーション講座、交通事故のスペシャリストとしての Auto Safety Trainer講座、機能神経科としての Developmental Disorder Specialty (発達障害児講座) 等数々の講座を終了。現在も Mountain View のシニアセンターやPHP (Parent Help Parent) にてセミナーを行いながら更なるカイロプラクティックの知識と技術向上に努めています。

Hiro Sugawara, D.C.

990 W Fremont Ave Ste M, Sunnyvale CA 94087

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