小児科臨床の四季

小児医業は、四季を通じ色々な病気に立ち会う。春は花粉によるアレルギー、そして秋から初冬にはインフルエンザ。子供達の病気を看るのは大変だが、それなりの楽しみがある。お母さま達の心の休みとなれば幸い。

2019年 3月 12日更新

第11回 : 太る人、瘦せれない人

世の中には、いろいろな体型の人がおります。太った人、痩せた人など、さまざまですが、一般に言って、太っている人は、飲んだり食べたりする量が他の人よりも多く、痩せている人はそれが少ないと考えられています。しかし、中にはどんなに食べても太らない人がいる一方、少ししか食べないのにどうしても太りがちの人もおります。体重の変化は、栄養素の摂取と体内使用度によって左右されます。ことに、でんぷん質の多い物を長く食べていると、それを利用するためのホルモン(インスリン)が分泌されますが、あまり長く続くとインスリン耐性が起きて、いわゆる2型糖尿病、メタボリック症候群を引き起こします。そんなわけで、3大栄養素(蛋白質、含水炭素、脂肪)をバランスよく摂ることが健康な身体を保つために必要です。ここで、食欲を調整する大事な2つのホルモンについて少しお話ししましょう。それはレプチンとグレリンです。

レプチンは、脂肪組織で生産され、腹が一杯になると、食を抑えるように働きますが、肥満している人では、レプチン耐性が起きてレプチンの血中濃度が高くなっています。一方、グレリンは主に胃の粘膜から分泌され、食前(空腹時)に増加し、食後に下降します。さらに、グレリンは何かストレスがあると、直接反応的に分泌され、どか食いをすることがあります。これらのホルモンは、自然に身体運動とストレス治療(マインドフルネスを基本とした)でコントロールすることができるでしょう。

さて、最近、腸内細菌叢が体重に大きく関係しているということがわかってきました。腸内細菌叢は、約100兆もの細菌群が主に大腸に住んでいますが、これを大別すると、善玉細菌群、悪玉細菌群と日和見細菌群があり、それらが一定の割合で群生し、栄養素の分解、吸収、さらに免疫造成に携わっています。善玉菌は、ビフィズス菌、乳酸菌などで腸の働きを活発にして、必要な栄養を体内に吸収するのを助け、悪玉菌の増殖を抑えます。悪玉菌は食中毒を起こす病原性大腸菌などで、腸内で有害物質を作り出したり、腸壁を壊すなど免疫力を落とします。日和見菌は、その働きが前者うちの優勢な方に加担します。

最近、腸内細菌叢のゲノム解析によってわかってきたのは、どんなに食べても太れない人の腸内にはいわゆる悪玉群が多いということです。そのような人は善玉菌群を助けるプロビオテイックとプレビオチック(水溶性繊維素、オリゴ糖)をサプリメントとして摂るのがよいでしょう。

2019年 3月 12日更新

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Columnist's Profile

吉田小児科院院長Takashi Yoshida(Yoshida Pediatrics 吉田小児医院)

北海道出身。北海道大学卒業。大学院での研修終了後渡米。主に基礎医学の研修に18年間携わる。そのうち2年間はNIH(National Institute of Health)フェローとしてイギリスに留学。ケンブリッジ、オックスフォード大学では基礎生化学の研修を行う。1972年より小児臨床に転向。ノースウェスタンおよびスタンフォード大学で小児レジデンスの研修を終え、1976年より当地で開業、現在に至る。小児臨床では、新生児から18歳まで健康診断および一般小児の病気を対象に診療にあたっている。患者層は日本人のみならず世界各国からの子供も多く、殊にラテン系の子供にはスペイン語で話しかけるのが楽しみ。毎週5日と第1、第3土曜日は半日診療を行っているほか、緊急の場合は必ず当日に受付診療しているので心配はなし。泣いて入ってくる子共が、帰る頃には笑い声を立てているのが第一の楽しみ。また体を鍛える目的で、毎日曜早朝9ホールのゴルフ廻りをしている。その他は読書や囲碁を自分流で楽しみながら続けている。

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